第92回アカデミー賞ノミネーションを予想 インクルージョン政策と配信映画の現状はいかに?
主演女優賞
スカーレット・ヨハンソン 『マリッジ・ストーリー』
シアーシャ・ローナン 『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
シャーリーズ・セロン 『スキャンダル』
レネー・ゼルウィガー 『ジュディ 虹の彼方に』
オークワフィナ 『フェアウェル』
次点:ルピタ・ニョンゴ 『アス』
ここでも、白人女優4名に有色女優1名というインクルージョン指定席ができてしまう。ルピタ・ニョンゴとオークワフィナのどちらかが入り丸くおさまったことにされてしまいそう。夏の公開からずっと愛され続けている『フェアウェル』の人気、そして『ジュマンジ/ネクスト・レベル』でも活躍するオークワフィナが一歩リードしている。スカーレット・ヨハンソンは『マリッジ・ストーリー』での演技も素晴らしかったが、『ジョジョ・ラビット』の母親役は彼女のフィルモグラフィ上でも特筆すべき役なので、助演のほうでノミネートされる可能性もある。日本人ヘアメイク・アーティスト辻一弘による特殊メイクでFOXのキャスター、メーガン・ケリーになり切ったシャーリーズ・セロン(『スキャンダル』)も強い。
主演男優賞
クリスチャン・ベール 『フォードvsフェラーリ』
アダム・ドライバー 『マリッジ・ストーリー』
ホアキン・フェニックス 『ジョーカー』
レオナルド・ディカプリオ 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
タロン・エジャトン 『ロケットマン』
次点:
アントニオ・バンデラス 『Pain and Glory(英題)』
ジョナサン・プライス 『2人のローマ教皇』
ロバート・デ・ニーロ 『アイリッシュマン』
主演男優賞が最も混戦、もしくは予想通りとなる賞だろう。次点に3人も挙がっているのは、どの役者も素晴らしくノミネートに値する演技を示しているから。Netflix陣営の『2人のローマ教皇』と『アイリッシュマン』は助演男優賞に力を入れ、こちらは『マリッジ・ストーリー』に譲るのでは? 本戦ではアダム・ドライバーとホアキン・フェニックスの一騎打ちになるだろうが、現段階では批評家筋の評判が良いアダム・ドライバーが頭一つ抜き出ている。先日も、ラジオ番組の収録中に自分の歌声の映像を流されたことに気分を害し、番組を途中退出してしまうという失態を演じたが、多くのメディアは「アダムが自分の演技を見ない(見たくない)のは有名な話。無理強いした司会者に非がある」とドライバーの肩を持った。
監督賞
ポン・ジュノ 『パラサイト 半地下の家族』
サム・メンデス 『1917 命をかけた伝令』
マーティン・スコセッシ 『アイリッシュマン』
クエンティン・タランティーノ 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
ノア・バームバック 『マリッジ・ストーリー』
次点:
グレタ・ガーウィグ 『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
ルル・ワン 『フェアウェル』
ローリーン・スカファリア 『ハスラーズ』
マリエル・ヘラー 『A Beautiful Day in the Neighborhood(原題)』
この予想でいくと、男性監督で5枠を占めてしまう。今年は女性監督作品のヒットが続いた年で、次点に挙げた4人のうち誰が入ってもおかしくない。ちなみに豆知識でいうと、グレタ・ガーウィグとノア・バームバックは夫婦、ルル・ワンのボーイフレンドは『ムーンライト』のバリー・ジェンキンス監督、ローリーン・スカファリアのボーイフレンドはボー・バーナム(『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』監督)である。賞レース前半で勢いのあったトッド・フィリップス(『ジョーカー』)やタイカ・ワイティティ(『ジョジョ・ラビット』)も例年なら監督賞圏内なのだが、今年のラインナップでは残念ながら敗退になってしまうかも。