第92回アカデミー賞ノミネーションを予想 インクルージョン政策と配信映画の現状はいかに?

第92回アカデミー賞ノミネーション予想!

作品賞

『マリッジ・ストーリー』
『パラサイト 半地下の家族』
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
『アイリッシュマン』
『1917 命をかけた伝令』
『スキャンダル』
『ジョジョ・ラビット』
『ジョーカー』
『フォードvsフェラーリ』
『フェアウェル』

次点:
『2人のローマ教皇』
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
『A Beautiful Day in the Neighborhood(原題)』

Netflix映画『マリッジ・ストーリー』
『パラサイト 半地下の家族』
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
Netflix映画『アイリッシュマン』
『1917 命をかけた伝令』
『スキャンダル』
『ジョジョ・ラビット』
『ジョーカー』
『フォードvsフェラーリ』
『フェアウェル』
Netflix映画『2人のローマ教皇』独占配信中
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
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Netflix映画『マリッジ・ストーリー』
『パラサイト 半地下の家族』
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
Netflix映画『アイリッシュマン』
『1917 命をかけた伝令』
『スキャンダル』
『ジョジョ・ラビット』
『ジョーカー』
『フォードvsフェラーリ』
『フェアウェル』
Netflix映画『2人のローマ教皇』独占配信中
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
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 数年前に作品賞候補が5本から10本になった際に、枠を倍増させたところで候補作はあるのだろうかと思ったが、今年に関しては全くの杞憂である。10本に収まらないほど良作が作られ、次点のどの作品も作品賞やその他の賞に入っていてもおかしくない。ここ数年、映画はまさに黄金期を迎えているのではないだろうか? その引き金となったのが配信業者と映画スタジオ(劇場)との確執で、結果的に双方から多くの良作が出てきている。

 Netflixは昨年の『ROMA/ローマ』1本で突き進むストラテジーから、アカデミー会員好みのいぶし銀『アイリッシュマン』(スコセッシ×デ・ニーロ×ジョー・ペシ&アル・パチーノ)、二人の教皇の対話をフェルナンド・メイレレスが人間味溢れる演出で描いた『2人のローマ教皇』、小さなドラマを最高の演出・脚本・演技・撮影で飾る『マリッジ・ストーリー』というバラエティに富んだ作品群を賞レースに投入してきた。1つのスタジオでこんなに趣向の違う作品たちを同年度の賞にぶつけてきたこともないだろう。

 NetflixやAmazonのような多国籍企業が世界各国の映画を同時に配信してきた結果、『パラサイト』のような作品が台風の目となっている。いまだに不条理な議論が繰り広げられているが、格差社会の根源が既得権益にあることを考えると、このような流れも含め“映画は現代を映す鏡”なのかもしれない。第92回アカデミー賞のノミネーションは2020年1月13日(日本時間14日)に発表される。

■平井伊都子
ロサンゼルス在住映画ライター。在ロサンゼルス総領事館にて3年間の任期付外交官を経て、映画業界に復帰。

Matt Petit / (c)A.M.P.A.S.

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