大河ドラマ、初の外部ディレクター演出が功を奏すか 『いだてん』異例の大抜擢、大根仁の手腕

大河ドラマ、初の外部ディレクター演出が功を奏すか 『いだてん』異例の大抜擢、大根仁の手腕

 第3章に入り、ますます盛り上がりを見せている大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』(NHK総合)。主人公が金栗四三(中村勘九郎)から政治記者の田畑政治(阿部サダヲ)にバトンタッチされ、時代も大正から昭和へ。牧歌的だった日本スポーツの黎明期は終わり、生臭い爛熟期へと変わっていく。

 「喋りのいだてん」と呼ばれる田畑に物語の主軸が移ると物語も様変わりする。

 第25回「時代は変る」では、嘉納治五郎(役所広司)たちが苦労していた渡航費の工面も田畑は大蔵大臣の高橋是清(萩原健一)に直談判、あっさり予算をぶんどってしまう。口の悪い田畑の振る舞いは、ともすれば今まで描いてきた金栗たちの物語を全否定となりかねないものだが、そうならないのは多種多様な人々の生き様を描いてきた『いだてん』ならでは。むしろ、田畑のせわしない視点がかぶさることで、物語に明確な柱が立ったように思う。

 そして、第26回「明日なき暴走」。1923年のアムステルダムオリンピックに出場した人見絹枝(菅原小春)に焦点を当てたこの物語は『いだてん』史上、屈指の仕上がりで放送終了後、SNSでは絶賛の嵐となった。

 増野シマ(杉咲花)に誘わる形で陸上選手となった絹枝は、いくつもの日本新記録を打ち立てるが、観客からはバケモノと罵られ、自分の生き方に悩んでいた。

 恩師・二階堂トクヨ(寺島しのぶ)から励まされた絹枝は陸上を続け、やがてオリンピックに出場する。女子100メートル走でのメダル獲得はできなかったが、女子選手代表として来た絹枝は「このままじゃ日本には帰れません」と未経験の800メートル走に出場。見事2位に入賞し、日本人女性初の銀メダルを獲得する。

 「3年後、人見絹枝は24歳の若さでこの世を去ります」とナレーションでさらっと語られる終わり方も絶妙で、実に美しい回であった。

 演出を担当したのは大根仁。チーフ演出の井上剛を筆頭に、NHKの演出家が多数参加する『いだてん』だが、大根は制作会社オフィスクレッシェンド所属の外部ディレクター。これは大河ドラマでは初の試みで、異例の大抜擢だが、今まで大根が担当してきた回のレベルの高さを見ると、『いだてん』チームが大根を起用した理由がよくわかる。

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