杉野遥亮、『スカム』で学んだ“主役”の醍醐味 「監督の近くで寄り添って話ができる」

杉野遥亮、『スカム』で学んだ座長の役目

「監督の大きなオッケーをもらいたいという感覚がありました」

ーー最初に脚本を読んだ際はどのように感じました?

杉野:まず、はじまり方がめっちゃ好きでした(笑)。物語にスピード感や臨場感があって、これが映像になったら面白くなるんだろうなと。頭の中でストーリーを流してみても、どういう風に撮影してどんな顔になるんだろうと想像が膨らんでいく感覚はありました。誠実という人がその瞬間瞬間に感じたことを丁寧に表現していきたいなと。

ーー詐欺をテーマにしたドラマはこれまでもいくつかありましたけど、本作はリアル志向というか、少しテイストが違いますよね。

杉野:見ていただけたらわかると思うんですけど、フィクションだけど、ノンフィクションでもあるなと。もちろん詐欺に対しては肯定できなくて、見ていただいた方に教訓にしていただきたいし、こういう手口をドラマで見せていくので、実際に引っかからないでほしいという気持ちもあります。でも、詐欺というものに行き着いてしまった若者たちの生き様を、社会問題として提起できる部分もあるんだろうなと思います。若者が持つ社会に対しての疎外感だったり世代間格差の問題だったり、閉塞感や生きづらさに行き着いてしまうようなシステムがあるということも投げかけていたりもするので、誠実たちを笑って貶したりドキドキワクワクもしていただいて、最終的にぽろっと涙するようなことがあってもいいのかなと思います。

ーー今回監督を務められた小林監督は若手の映画監督で、前作『全員死刑』では衝撃的な作品を撮られた方です。現場での印象はいかがですか?

杉野:すごく素直な方で、喋っていてもいい意味で子供っぽさがあるのかなと。自分がいいと思ったことに対しては、すごく素直にリアクションしてくれますし、それが僕たちスタッフキャストのやりがいや次のステップに進むためのヒントのように感じたりしていたので、監督の大きなオッケーをもらいたいという感覚がありました。

ーー役柄についてはどんな話をしましたか?

杉野:クランクイン前に小林監督と何度か話す機会がありました。お互い作品に対して思うことをいくつか話したのですが、その段階で、すごく明るい未来が見えたというか、現場が活気付いているイメージが湧いてきたんです。実際最初の方は、「今の誠実の心情的にどうなの?」と聞かれて、僕が説明して、「そうだよね。そういう風に感じるよね」といった具合にすり合わせをしました。でも撮影が進むにつれ直接会話をするということがなくなってきて、誠実がこういう風にあってくれればいいなという監督の思いと、こういう風にいたいなという僕の思いがリンクして、信頼関係を作ることができたなという印象でした。

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