『セッション』から『ハッピー・デス・デイ』まで “早い、安い、美味い”ジェイソン・ブラムの仕事
『パラノーマル・アクティビティ』シリーズや『インシディアス』シリーズのようなJump Scare(びっくり)映画、『ザ・ベイ』や『ヴァイラル』といった生物災害ホラー、果ては『スプリット』や『セッション』のような有名作まで、低予算でもパンチのあるストーリーを持つ作品を次々とプロデュースしているジェイソン・ブラム。
低予算で製作が可能かつ集客できる映画を! 貪欲な商業映画作りへの情熱は、在りし日のロジャー・コーマンを彷彿とさせる。しかも、彼は常に挑戦的だ。次々と続編を発表している出世プロデュース作品『パラノーマル・アクティビティ』は、毎回味付けの違うファミリードラマを展開させ、ファンを退屈させないようにしている。つまり“同じことをしているようで、毎回違うことをしている”のである。先日公開された『パージ:エクスペリメント 』も同じ手法で続編を作り続けている。
「最終的な決断は僕が決めることもあるけど、基本的なことは全て監督、スタッフたちに任せる。とにかく自由にやってもらえるようにしているんだ」と語るジェイソン。極低予算でリスクを抑えることで、若手監督にプレッシャーを与えることなく、彼らの考える通りの映画製作をしてもらう……というビジネスモデルを確立させたのだ。
『インシディアス』(2010年)を例に取ろう。『インシディアス』の監督ジェームズ・ワンは当時『デッド・サイレンス』(2007年)の収益が思わしくなく、映画監督として初めての挫折を経験。さらに『ソウ』以降、つきまとっていたトーチャーポルノ監督というレッテルに悩まされていた。そんな彼に目を付けたのがジェイソン・ブラムである。ジェームズ・ワンは、彼に「好きにやれ」と言われ、盟友リー・ワネルと共に、ほとんど流血描写がないホラー映画を仕上げた。それが『インシディアス』である。
結果、150万ドルの予算で制作された『インシディアス』は9500万ドルもの収益を得て、ジェーズム・ワンは見事に復活。以降『死霊館』シリーズの製作へとなだれ込んでいく。今やジェームズ・ワンは『ワイルド・スピード SKY MISSION』(2015年)や『アクアマン』(2018年)といったブロックバスター作品を手がける大監督となったが、それを後押ししたのは何を隠そうブラムなのである。そんなジェイソン・ブラムのプロデュース最新作が今夏、連続で公開される。