『パーフェクトワールド』は新たな展開に 松坂桃李×山本美月が目指す「心のバリアフリー」とは?

『パーフェクトワールド』は新たな展開に

 そんな圭吾は、偶然にもバリアフリーの住宅設計を依頼しようと樹のもとを訪ねていた。樹はその依頼を断るのだが、何か助言できることはないかと考える。それは、圭吾が楓のためにしようとしていること、つまり自分のすべてを犠牲にしてでも相手に尽くすという愛情の示し方が、つぐみが樹へ向けた愛情の示し方と重なっていたからだ。そして樹が「パートナーに負担をかけたくない。介護が必要な人間にとって共通の想い」だと語っていたように、楓もまた圭吾の負担になりたくないと願っているのだと見抜いている樹。しかしそれは、前述の晴人の言葉にあったように、様々な負担をかけてしまっているという負い目から、パートナーに対して“壁”を作っているのと同じである。

 もともと樹自身は、「相手に迷惑をかけられない」という考えから恋愛すること自体を諦めていた。その壁を取り払ったのはつぐみであり、一度は “心のバリアフリー”が2人の間にできたのは、健常者側から障がい者に向けられていた“理解”や“受容”という壁をつぐみが突破したからに他ならない。しかしまた、つぐみのことを想うあまり再び現れることになった樹の側からの高い壁。それを樹自身がどのように乗り越えていくのか。そして愛する相手と一緒にいることが夢だと、楓に強く説く圭吾の想いを目の当たりにしたつぐみが、樹とどう向き合うようになるのか。このドラマの第2章は、より深い部分で、つぐみと樹の2人の物語が描かれることになるだろう。

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■放送情報
『パーフェクトワールド』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週火曜21:00〜放送
出演:松坂桃李、山本美月、瀬戸康史、中村ゆり、松村北斗(SixTONES/ジャニーズJr.)、岡崎紗絵、池岡亮介、木村祐一、水沢エレナ、堀内敬子、とよた真帆、麻生祐未、松重豊
原作:有賀リエ『パーフェクトワールド』(講談社『Kiss』連載)
脚本:中谷まゆみ
音楽:菅野祐悟
主題歌:菅田将暉「まちがいさがし」<作詞・作曲・プロデュース:米津玄師(EPICレコードジャパン)>
プロデューサー:河西秀幸
演出:三宅喜重 白木啓一郎
制作著作:カンテレ
(c)カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/perfectworld/
公式Twitter:https://twitter.com/perfectworldktv

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