森田想×田中芽衣×蒼波純×枝優花が語る、『放課後ソーダ日和』の裏側 「多様性の塊みたいな作品」

『放課後ソーダ日和』監督&出演者が語る裏側

アイスが溶ける時間との戦いだった撮影

―― 喫茶店の撮影は一日一箇所ですか?

枝:二箇所です。ホント、タイトなスケジュールで。私たちスタッフは飲めないけど、ちょっと暑い時期の撮影だったので、いいペースで3人が飲んでいて。演者は大変だけど、私たちからするといいなぁと思って(笑)。

―― 飲んだり食べたりしながらの演技は大変ですよね。

田中:とにかく、クリームソーダが出てきてから溶ける時間と芝居の時間の戦いが壮絶で。いい感じで台詞を言えたけど、ちょっと(クリームソーダのアイスが)ドロドロすぎたよねぇってことがあって。

一同:あぁ~。

『放課後ソーダ日和』第7話:ムウ子の恋 -後編-

田中:でも私は溶けたものは撮影に使えないから食べれるじゃないですか。だから、ラッキーって思いつつも、大変でした(笑)。

森田:単純にアイスは溶けますよね。

―― 何分くらいで溶けるんですか?

枝:5分くらい? 

田中:ストローで触ったら、すぐですよね。

枝:これがパフェだったらどれだけいいか(笑)。生クリームは耐えられるけど、アイスは飲んだ瞬間溶けるので。最終話のサナとお父さんのシーンは長回しだったので大変で。あれは裏でスタッフの男の子が作ったのですが、5回くらい撮り直した時に「ラストチャンスっす。もうシロップがないっス」と言われて大変でした。

『少女邂逅』と真逆のアプローチ

――『少女邂逅』と『放課後ソーダ日和』は真逆のアプローチだったので、こういう作品も撮る人なのかと驚きました。

枝:映画の時は、言葉はあまり使いたくなくて、台詞やモノローグは入れたくなかったんですけど。

―― 確かに『少女邂逅』は映像的ですよね。

枝:ドラマは逆に台詞で言ってくれるメディアじゃないですか。YouTubeで配信するにあたって、若い人に届けたいと思ったので「なるべく言葉にせねば」と思いました。そこは映画の時とは違う意識だったと思います。

――『少女邂逅』で映像的な表現をやりきったという所もあるのでしょうか?

枝:毎回そうですね。アートっぽい作品を撮ると疲れちゃって、次はド定番のものを撮るという感じで。

―― メッセージ性の高い台詞が素晴らしかったです。脚本はすぐに書けたそうですが。

枝:『少女邂逅』を撮ってから若い子からメッセージをもらうことが増えたんですよ。中には「部活のみんなが話を聞いてくれません」「がんばりたいけど、どうしたらいいかわかりません」といった悩み相談もありまして、20代の私の立場からすると、そんなことで悩むんだってことの連続なんですよね。

 自分の気持ちを友達に言えなかったことや、教室が狭かったことすらも、忘れかけてますが、そんな学生時代の記憶を思い出して、若い子からいただいたリアルな声を詰め込みました。自分が当時感じていた気持ちに外部からの意見を取り入れたのが『ソーダ日和』ですね。

――3人の姿を見ていると、自分が17歳だった頃を思い出します。喫茶店じゃないですけど友達と本屋にずっと居て、本も買わずに文庫本の背表紙だけ延々と見てたなぁとか。

枝:お金がないなりの楽しみ方ですよね。

―― 700円くらいの贅沢。ワンコイン(500円)+αって金銭感覚が絶妙ですよね。

枝:今、高校生がタピオカにめっちゃ熱中してるのは、絶妙な値段なんだろうと思いますね。あれが800円だとちょっと高いんだろうなぁ。

―― 学生時代、みなさんは放課後をどのように過ごしてましたか?

田中:私は芸能の通信だったので、お仕事で学校に行けないことが多くて。しっかりと高校生活を送ったことがなかったので、逆にふつうの高校生は放課後、何してるんだろうと思ってました。

森田:土曜日は午前で授業が終わったので、ファミレス行ってチーズIN(ハンバーグ)食べて。

田中:えぇ~高校生が(笑)。

森田:その後、カフェ行ってフラペチーノ飲んで。渋谷行ってタピオカ飲んでました。

一同:へぇ~

――それだと、1000円超えませんか?

森田:それはテスト明けですね。普段はファミレス、カフェ、プリクラです。

田中:カフェに対する憧れがあるんですよ。カフェも500円くらいで、カスタムにすると800円くらいだから。そういう憧れはありますね。

蒼波:放課後、たまにカラオケに行くんですけど、フリータイムが600円くらいで入れるので……そういう過ごし方をしてます。

『放課後ソーダ日和』第9話:かけがえのない放課後

―― 撮影中の3人はどんな様子でしたか?

田中:私とサナ(森田想)は元から友達で、お互いの空気感はわかってたんですよ。だから、2人で盛り上がってるのを(蒼波純が)「うんうん」って聴いてくれる仏のような天使のような感じでした。

森田:でも時々、話に入ってくれるって感じで。

―― 蒼波さんは2人が話しているのを、どんな気持ちで聴いていたんですか?

蒼波:いやぁ~。なんかこう、地元と時間の流れが違うなぁと。

枝:3人はワイヤレスマイクをつけてるので、喫茶店の外でスタッフと打ち合わせをしている時も、ずっと声が聞こえてくるんですよ。大人が聞くと10代の会話って超早くて、早口言葉みたいなものすごいスピードで2人が喋ってる中、うっすらと純ちゃんの声が「ふふ」って聴こえるから「参加して!」って思ったりして(笑)。もちろん、楽しんでるのはわかるんですけど、役のまんまだなぁって、スタッフと話してました。

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