『はじこい』なぜ“ファン作り”に成功? 横浜流星&中村倫也&永山絢斗、キャラクター設定の巧さ

『はじこい』が視聴者を夢中させたワケ

 さらに春見の描き方にもポイントがあった。春見は最後まで誰の気持ちにも答えないことで、視聴者に選ぶ隙を与えたのだ。多くの視聴者は、春見が自己主張が強いタイプではなかったために、自己を投影して作品を楽しむことができる。作品に関する感想の多くは「私は〇〇が好き!」など、春見と同じ目線での意見が多いように思う。

 このように視聴者を引き込んで“自分ごと”にしたことは『はじこい』の強みであり、多くの視聴者が作品のファンになって楽しめた所以ではないだろうか。春見の成長物語としても深い部分まで描かれており、ただの恋愛ドラマではない奥行きがあったことから、作品自体が良質なものであることは確か。そこに視聴者を巻き込めるかが肝となるのが連続ドラマのヒットのポイントだが、本作はファン作りに成功した作品である。

 由利役を務めた横浜流星は映画『L・DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。』の公開が3月、『チア男子!!』の公開が5月に控え、勢いのある役者だ。このままキャスト陣も次の作品でさらに活躍してくれるだろう。

※『L・DK』の「・」はハートマークが正式表記

※記事初出時、一部に記述の誤りがありました。訂正してお詫びいたします。(2019年3月22日15時)

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■作品情報
火曜ドラマ『初めて恋をした日に読む話』
出演:深田恭子、永山絢斗、横浜流星、中村倫也、安達祐実、石丸謙二郎、鶴見辰吾、生瀬勝久、檀ふみ、高橋洋、皆川猿時
原作:『初めて恋をした日に読む話』持田あき(集英社『クッキー』連載)
脚本:吉澤智子
プロデューサー:有賀聡(ケイファクトリー)
演出:福田亮介ほか
製作:ケイファクトリー、TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/hajikoi_tbs/

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