『3年A組』作り手と菅田将暉の姿が重なる? “展開の速さ”で視聴者惹きつける現代的ドラマの作り方

『3年A組』ヒットのポイントは“展開の速さ”

 そして、この切迫感――なにがなんでも視聴者の関心を引きつけようという気持ちが、そのまま教室に立てこもってあの手この手で生徒たちにメッセージを送り続ける柊の姿と重なるところが本作の隠れた面白さだろう。

 柊が生徒に発しているメッセージは、一つの問題に対し「じっくりと考えろ」ということだ。安易な結論に逃げて簡単な物語に回収してしまうこと、そのことに対する憤りをドラマを見ていると強く感じるのだが、それは、すぐにスマホに目をやり、安易な動画やSNSに目が行きがちな視聴者に対する苛立ちのようにも見える。

 そんな飽きっぽい視聴者と向き合ったことで生まれたのが、高密度の圧縮化された物語形態だというのは皮肉だが、今の時代、ここまでやらないと、人は相手の話を聴いてくれないのだ。

■成馬零一
76年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。

■放送情報
『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30〜放送
出演:菅田将暉、永野芽郁、萩原利久、秋田汐梨、若林薫、佐久本宝、富田望生、片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)、川栄李奈、上白石萌歌、新條由芽、鈴木仁、古川毅(SUPER★DRAGON)、望月歩、搗宮姫奈、堀田真由、日比美思、森山瑛、三船海斗、今井悠貴、若林時英、今田美桜、飛田光里、大原優乃、神尾楓珠、横田真悠、森七菜、西本銀二郎、福原遥、高尾悠希、箭内夢菜
脚本:武藤将吾
チーフプロデューサー:西憲彦
プロデューサー:福井雄太、松本明子(AX-ON)
演出:小室直子、鈴木勇馬、水野格
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/3A10/

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