『女王の教室』から『ハケン占い師アタル』へ 遊川和彦が“会社”を舞台に描いた時代の変化

遊川和彦が会社舞台に描いた『ハケン占い師アタル』

 近年、会社を舞台にした作品が増えつつある。2013年の『半沢直樹』(TBS系)の成功以降、池井戸潤の企業小説をドラマ化した作品がヒットしており、テレビ東京の新設枠・ドラマBizでは、『ハラスメントゲーム』といったビジネスを題材にしたドラマが作られている。

 これは、おそらく今の社会の矛盾の多くが会社という場所に集約されているからだろう。特に女性を主人公にすると、男社会の女性差別の問題が露呈することが多く、そういった社会問題に意識的な作り手ほど、会社を舞台にした作品を書こうとしている。

 現在、木曜夜9時から放送されている『ハケン占い師アタル』(テレビ朝日系)も会社を舞台にすることで、様々な社会問題を描こうとしている意欲作だ。舞台となるのは、イベント会社「シンシアイベンツ」のDチームという部署。派遣社員として働くことになったアタルこと的場中(杉咲花)の視点を通して描かれるDチームの面々は、それぞれ問題を抱えている。

『ハケン占い師アタル』第1話より(c)テレビ朝日
『ハケン占い師アタル』第2話より(c)テレビ朝日
『ハケン占い師アタル』第3話より(c)テレビ朝日

 アタルの教育係となった神田和実(志田未来)は自分に自信が持てず、肝心な場面でミスばかりを繰り返す。父親のコネで入社した目黒円(間宮祥太朗)は、空気が読めないお坊ちゃまで、無駄に明るく大声で喋るが、みんなが腫れ物に触るように対応。品川一真(志尊淳)は、上司の上野誠治(小澤征悦)の熱苦しい指導をパワハラだと感じ、仕事を辞めたいと思っていた。

 そんな若手社員に対し、アタルが悩み相談を受ける場面が本作のハイライトとなっている。実は占い師で人の心が読めるアタルは、社員の質問に3つだけ答えてあげることで、彼らの内面へと入っていく。アタルに叱咤激励された社員たちは自分と向き合い、成長していく。

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