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戸田恵梨香とムロツヨシだからこそ紡げた物語 『大恋愛』が伝えた“生まれてきた意味”

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 “え? ムロツヨシが本格恋愛ドラマ?”なんて驚いた秋の日を思い出し、懐かしく笑いながら目頭が熱くなった。10年の物語をギュッと凝縮した3カ月間。若年性アルツハイマー病を患った尚(戸田恵梨香)と真司(ムロツヨシ)の愛を描いた『大恋愛〜僕を忘れる君と』(TBS系)が、ついに幕を閉じた。

 10月に行われた特別試写会では、戸田恵梨香がムロツヨシを「どうしたら好きになれる(笑)?」とイジり、ムロツヨシは何を言っても笑ってくれる戸田恵梨香を「いい女です!」と絶賛して、ふたりで大笑い。ドラマの中でも“これはアドリブでは?”と、見ているこちらが思わずにやけてしまうようなシーンもたびたびあった。そんなやりとりを思い返すと、改めてこのふたりだからこそ描けた『大恋愛〜僕を忘れる君と』だったように思う。

 テンポ良くストーリーが進むドラマらしいドラマでありながら、そこに漂うのはリアルな信頼関係だった。コミカルな演技をする印象が強かった俳優・ムロツヨシの中に眠る二枚目さ、ストイックなイメージがあった女優・戸田恵梨香の飾らない笑顔が、回を重ねる毎に引き出されていった。今や「ムロツヨシが恋愛ドラマ?」なんて思う人はいないだろうし、「戸田恵梨香は本当にいい女!」と声を大にして言いたい。素晴らしい“演技”に魅了されるほど、ふたりの“素の魅力”が開拓されていく、そんな不思議な感覚も、このドラマが見せてくれたひとつの奇跡だ。

 最終話は、尚が忘れてしまった愛しい思い出たちが次々と映し出される。ふたりの高い演技力によって、本当に10年が経ったかのような変化。それでも、鮮明に思い出せる尚が言い放った「ピカレスクでエロティックな刺激」という独特な表現。投げ渡される黒酢はちみつドリンク。食べにくいアップルパイ。気まずいときにこそ繰り広げられるアテレコ遊び……。そうした一つひとつのアイテムやワードをきっかけに、ブワッと尚と真司の10年間が脳内に甦っていく。もはや黒酢はちみつドリンクもアップルパイも、ただの飲み物でも食べ物でもなくなっていることに気づくのだ。そして、煙突を見るたびにつぶやきたくなるはずだ、「図太く、まっすぐに」と。

      

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