“アベンジャーズ”集結など代替案も ケヴィン・ハート降板で話題、アカデミー賞授賞式司会の役割

アカデミー賞授賞式の司会はどうなる?

 また、上に書いたような全てを、一堂に会した一流タレントたち、さらには世界中の視聴者の前で滞りなくこなすことへの見返りが少ないと考える人もいる。前回司会者抜きの授賞式が行われたのは1989年、実に30年前に遡る。式のオープニングではディズニーに無許可で白雪姫を登場させ、ミュージカルナンバーが披露されたが、その評判は非常に悪く、授賞式のプロデューサー、アラン・カーのその後のキャリアにも悪影響を及ぼしたという。第89回授賞式でジミー・キンメルが司会を務めたときの報酬は1万5千ドルであったと本人が漏らしているが、受賞の結果によって、一晩でキャリアの階段を一気に駆け上る可能性のある俳優や監督とは違い、司会者は長時間もの準備の末に、一晩でそのキャリアに傷がつくかもしれないのである。年々授賞式の視聴率低下が続く現状を考えれば、そのプレッシャーはなおさらである。

 そんな中、本当に司会抜きで進んだ場合の代替案として出されているのは、以下のアイデアである。

1. ビッグネームのプレゼンターたちに、候補者の発表やトロフィー授与以上の役割を与える。

2. レディー・ガガ、 ケンドリック・ラマー、ダイアン・ウォーレンなど、音楽部門でノミネートされているタレントをよりフィーチャーする。

3. マーベル・スタジオが『アベンジャーズ』のキャストを集結させるとの噂もある。今年4月に予定されている『アベンジャーズ/エンドゲーム』の公開も見越して、ロバート・ダウニー・Jr.、スカーレット・ヨハンソン、クリス・ヘムズワースなどの俳優たちが出るのでは、と見込まれているが、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』が今年のビジュアルエフェクト部門でノミネートされていることを考えると、あながち外れてもいないのかもしれない。

 一番現実的なのは、プレゼンターたちが、司会の役割も割り振ってつないでいく案ではないのかとも思われるが、これはエンターテインメントの祭典である。その保守性をたびたび批判されてきた映画芸術科学アカデミーは、近年その組織にメンバーの多様性などの変革をもたらすため、様々な変化を打ち出してきている。ここはぜひあっと驚くような解決法を見せ、その祭典に花を添えてほしいが、結果は2月24日になれば明らかになる。

■神野徹
北海道出身。カリフォルニア大学ロサンゼルス校で映画プロデュースを学び、その後メジャースタジオの長編映画企画開発部門などで経験を積む。

参照:

https://variety.com/2019/film/news/oscar-nominations-2019-hostless-ceremony-no-host-1203113603/
https://variety.com/2019/film/features/oscars-no-host-hot-mess-1203114876/
https://www.hollywoodreporter.com/news/why-oscar-host-is-worst-job-town-1165880
https://variety.com/gallery/oscars-hosts-ranked-best-worst/#!1/jimmy-3

■放送情報
『生中継!第91回アカデミー賞授賞式』
WOWOWプライムにて、2月25日(月)8:30〜(二ヶ国語/同時通訳)/21:00〜(字幕版)
Todd Wawrychuk / A.M.P.A.S.
※写真は第90回アカデミー賞授賞式より

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