鈴木おさむが語る、LDHとタッグを組んだ理由「映像や舞台を本職としていない人のアイデアも形に」

鈴木おさむが語る、LDHとタッグを組んだ理由「映像や舞台を本職としていない人のアイデアも形に」

 放送作家の鈴木おさむがLDHとタッグを組んだクリエーターチーム・LDH Oが、2018年末より始動している。LDH Oの「O」とは、OPUS=作品を意味しており、これまでにない方法で世の中に様々な作品を生み出すためのチーム。すでに「ストーリーガレージ」というプロジェクトが始まっており、公式サイトでは映画やドラマ、舞台の元となるストーリーのオリジナルのアイデアを募集している。採用されたアイデアは「VTR企画書」としてストーリーガレージに展示。企画に対して映像化や舞台化のオファーがあった際は、LDHのバックアップを受けながら制作することが可能だという。この新しい試みには、どんな狙いがあるのか。鈴木おさむ本人に詳しい話を聞いた。

「面白いアイデアを持っている人はたくさんいるはず」

ーーLDH Oを始めた経緯を教えてください。

鈴木おさむ(以下、鈴木):もともと僕は、『GENERATIONS高校TV』(AbemaTV)などの番組制作でLDHと携わっていて、それ以外にもLDHといろいろな形で一緒に物作りをさせてほしいという思いはあったんです。その第一弾として、2018年夏に三代目J SOUL BROTHERSの山下健二郎くん主演の舞台『八王子ゾンビーズ』で作・演出を手がけました。この作品では、オリジナルの脚本を書き下ろしているのがポイントで、つまり「原作」を持っているので、これから舞台以外にも様々に展開していくことが可能です。今年、この映画版を制作することになりました。色んな形で発信が出来ます。この「原作」を作るという発想から、LDH Oの構想が生まれてきました。

ーーLDH Oは「原作」を生み出す場である、と。

鈴木:そうですね。あくまでも「物語の種」を作ることに主眼を置いています。ストーリーガレージでは、まずは100文字から1000文字以内でオリジナルストーリーの企画書を書いてもらい、面白そうなものがあったら、予算(50万円以内)をこちらから全額出して、5分程度の「VTR企画書」を作ってもらいます。これなら、映像や舞台の仕事をしていない一般の方でも、アイデアさえあれば応募ができる。VTR企画書という形式にしたのも、応募へのハードルを下げるため。例えば予告編を作るとなると、映像的なテクニックなどの専門性が必要となるけれど、VTR企画書はあくまでも企画書なので、観る方にコンセプトや発想がわかりやすく伝わりさえすれば良い。YouTubeで見かける動画のように、ほとんどがテロップでの説明だって良いわけです。TikTokの映像を作れるくらいのレベルで十分。そして、このVTR企画書を観て、例えば制作会社の方が映像化してみたいとなったら、LDHのバックアップを受けながら形にすることができる。

ーー公式サイトでは、VTR企画書の例として鈴木さん自身が手がけた「リストラ鬼ごっこ」が公開されています。映像を観ると、自分だったらこんなストーリーにしてみようかなと、想像が膨らみます。

鈴木:「リストラ鬼ごっこ」はあくまでも一例ですが、演者やプロデューサーが観たときに、膨らませられるアイデアが良いです。あそこから大きな事件につなげて行くこともできるし、逆に身近な話題に持って行くこともできる。

リストラ鬼ごっこ

ーー作り手側からしても、料理のしがいがありそうです。

鈴木:オリジナル作品を手がけられることに魅力を感じるクリエイターは少なくないと思います。僕自身も、基本的にはオリジナル作品を作りたい。今は映画にしても舞台にしても、すでに売れている漫画や小説が原作となる場合が多いです。多額の費用がかかるから、数字が見込める作品じゃなければなかなか作ることができないという現実はたしかにあります。ただ、そうした作品に飽きているユーザーもいるはずだし、クリエイターの側にもオリジナル作品を作りたいという欲求はある。だからこそ、ストーリーガレージのような仕組みは必要なのではないかと。脚本家や映画監督ではなくても、面白いアイデアを持っている人はたくさんいるはずだし、VTR企画書があれば、それを原作の代わりにして様々な方向に展開できます。LDHのバックアップがあるとなれば、ブランドとして信頼感もあるし、きちんとプロモーションして届けるべき人に届けることができるはず。うまくいけばヒットだって見込めるでしょう。

ーー実際、クリエイターたちの反応はどうですか?

鈴木:「悪夢シリーズ」で知られる小説家の木下半太さんが関心を持ってくれて、さっそく第二弾のVTR企画書を作ってもらうことになりました。もともと映像化したいオリジナル作品があったそうで、LDH Oの話をしたら、ぜひやってみたいと。今後は映像や舞台を本職としていない人からのアイデアも、どんどん形にしていきたいです。

ーー具体的に、どんな方からアイデアをもらいたいと考えていますか?

鈴木:例えば、オンラインサロンをやっている方などが、仲間と一緒に作ったりしたら面白いと思います。それこそ、YouTuberの方にも作品を作ってほしい。年に何本も映画を観るような映画ファンや、LDHのファン以外にも届けるという意味でも、違うジャンルの方を通して発信していくことも大事かなと考えています。それと、中高生など若い方からの応募にも期待しています。今はそれこそiPhoneひとつで映像を撮ることだってできるわけですから、中高生だって十分に応募できる。今、音楽の世界ではすごく若いクリエイターも出てきています。映画や舞台の世界でも、すごく若いプレイヤーが増えたら刺激的ですよね。

「LDHは、知れば知るほど面白い会社」

ーー鈴木さんはLDHと組むことにどんなおもしろさを感じていますか?

鈴木:まず発信力がとてつもなく強い。人気アーティストが数多く所属していて、そのパワーを作品に還元してもらえるのは、作り手にとっても心強いことでしょう。また、独自に映画製作を行っているLDH picturesがあるのも強い。ほかのプロダクションと組んで、すぐにでも作品を作ることができるだけのリソースがあります。

ーーLDHはエンタテインメントを軸に、多方面にビジネスを展開していますね。

鈴木:知れば知るほど面白い会社だと思います。アーティストのマネジメント会社という側面はもちろんありますが、所属アーティストにクリエイター気質が強く、会社の側もアーティスト一人ひとりを事業者のように捉えているところがある。たとえば、EXILE TETSUYAさんはコーヒー好きが高じて、コーヒーショップ「AMAZING COFFEE」をプロデュースして、しかもお店は大繁盛している。芸能事務所は所属タレントが他の事業をすることにうるさかったりもするのですが、LDHはむしろ「それ面白いね」と事務所全体で応援していくようなところがある。昔と比べて今は色々なギャランティも下がってきている現実があるし、CDだって厳しい世の中です。俳優やアーティストは将来が不安だと思うんです。でも、LDHのような姿勢であれば、アーティスト活動を引退したとしてもその後のキャリアも描くことができる。

ーー鈴木さんご自身のキャリアの中では、LDHとの出会いをどう捉えていますか。

鈴木:とても面白い時期に出会うことができたと思っています。テレビを取り巻く環境が大きく変わり、インターネットの興隆で新しいメディアがどんどん出てくる中、僕自身も40代後半ということでこれまで培ってきたものを外に向けて発信してみたいと考えていたので、タイミング的にもすごく良かったです。前述したように、僕は『GENERATIONS高校TV』からLDHと関わっているのですが、GENERATIONSのメンバーは本当に若くて、僕らとは感覚がかなり違っている。たとえば会議中にスマホで探した動画をパッと出してきて、「こういうのどうですか?」とプレゼンしてきたりするんですよ。そういう新世代ならではの感覚を持ったアーティストを、テレビではない新しいメディアを活用して、世に出るアシストができるのは刺激的で面白いです。

ーー『GENERATIONS高校TV』も、E-girlsが出演している『全力部活!E高』も、鈴木さんならではのバラエティ番組となっていて興味深いです。

鈴木:両番組については、ファンが喜ぶ番組にするのも大切なんですけれど、そこから一歩踏み出す企画になるように心がけています。具体的にいうと、自分と同世代の男性が観ても楽しめるかどうか。ファンの方からすると、「GENERATIONSにそんなことさせないで!」と思うところもあるかもしれないけれど、ファン以外の人にも認められるのは彼らにとって大事なことだし、そのためにチャレンジしなければいけない部分はどうしてもある。GENERATIONSのメンバー自身も、バラエティができることを自分たちの強みのひとつだと意識しているはずだし、中務裕太くんなんて硬派に見えるけれど、実はすごい強烈なバラエティーキャラだったりします。バラエティにはリスキーな企画が必要で、それをやるということは、アーティストの人生とともに歩むことでもあります。だからこそ、最近はテレビでやるのがどんどん難しくなってきている。そうした環境を踏まえると、『GENERATIONS高校TV』や『全力部活!E高』のように、インターネット番組で攻めた企画をやるのは、理にかなっていると思います。何をやっても良いというわけではないけれど、若年層のユーザーは、刺激の強いYouTuberの動画などにも慣れているから、それも理解して番組作りをしなければいけません。

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