『なつぞら』広瀬すずの親友役にも抜擢 『3年A組』富田望生、“新たな女優像”築く逸材の登場
野球やサッカーというスポーツの中で、キャッチャーやゴールキーパーは、以前は守備的なポジション、他のプレイヤーとは違う専任的で特殊な役回りだと考えられてきた。チーム
のヒーローではない、縁の下の力持ち的な存在だと。しかしある時、圧倒的な打撃力を持った捕手、積極的にFKを蹴って攻撃に参加し、ハットトリックを決めるようなゴールキーパーといった特殊な天才たちが現れ、ポジションの定義そのものを塗り替えていく。
今、僕たちが富田望生の演技に見ているのはそういった”ゲームチェンジャー”的な才能ではないだろうか。富田望生はおそらく、これから出演する多くの作品の中で、誰も予想しなかったいくつものプレーを見せてくれるだろう。「太った女の子はこういう演技をして、こういう風に物語から退場していく」という思い込みを鮮やかに裏切る。そして、そうした新しいプレーは、いつしか新しいゲームを作っていく。1823年のイギリスのパブリックスクールでサッカーの試合中にボールを持ったまま走り出した少年が、いつしか学校の名にちなんで「ラグビー」というスポーツを生み出したように。
そして、そういったゲームチェンジを待っているのはおそらく、富田望生とそのファンだけではない。日本映画界のホープである広瀬すず、『あさひなぐ』で共演した乃木坂46のキャプテンを務める桜井玲香、『SUNNY 強い気持ち・強い愛』で共演した山本舞香……富田望生の周りには常に同世代の演技志向の強い若手女優たちが集まり、SNSや撮影現場で交流している。そして彼女たちもどこか、“美少女女優”として割り当てられる「役」に飽き、新しいゲームの始まりを待っているように見える(たとえば広瀬すずは、インタビューの中で悪役願望を口にすることがある。それは今の彼女の立場ではなかなか叶わない願いだ)。
新しい女の子たちが、新しいロールプレイを始めている。そういうことは学者が論文を書くよりもずっとずっと先に現実の中で起きる。LGBTという言葉がまったく一般的でなかった時代から、aikoはライブのMCで「男子! 女子! そうでない人!」とコール&レスポンスしていた。変革は今も起きているのだ。
現在日本テレビ系列で放送されている『3年A組-今から皆さんは、人質です』はオリジナル脚本作品で、まだ物語の行方や、富田望生演じる柔道部の女子生徒、魚住華の人物像は明らかになっていない。しかし、『3年A組』がどのような物語になるとしても、富田望生はその多彩な演技で、作品に応じた答えを打ち返してくれるんじゃないかと思う。役者とは物語の役に立つ者、社会の中で様々な形のロールモデルを示す存在だ。役者は時に善を演じ、時に悪を演じる。ある時には醜怪な存在に化け、ある時には新しい美を見せる。新しい女優はもうずっと前からここにいる。新しい物語と、新しい役割が彼女を待っている。僕たちはそのゲームが始まるのを静かに見守っていたいと思う。
■CDB
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■放送情報
『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30〜放送
出演:菅田将暉、永野芽郁、萩原利久、秋田汐梨、若林薫、佐久本宝、富田望生、片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)、川栄李奈、上白石萌歌、新條由芽、鈴木仁、古川毅(SUPER★DRAGON)、望月歩、搗宮姫奈、堀田真由、日比美思、森山瑛、三船海斗、今井悠貴、若林時英、今田美桜、飛田光里、大原優乃、神尾楓珠、横田真悠、森七菜、西本銀二郎、福原遥、高尾悠希、箭内夢菜
脚本:武藤将吾
チーフプロデューサー:西憲彦
プロデューサー:福井雄太、松本明子(AX-ON)
演出:小室直子、鈴木勇馬、水野格
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/3A10/