年末企画:成馬零一の「2018年 年間ベストドラマTOP10」 WEBドラマの質と量が一気に底上げ

成馬零一の「2018年 年間ベストドラマTOP10」

 リアルサウンド映画部のレギュラー執筆陣が、年末まで日替わりで発表する2018年の年間ベスト企画。映画、国内ドラマ、海外ドラマ、アニメの4つのカテゴリーに分け、国内ドラマの場合は地上波および配信で発表された作品から10タイトルを選出。第11回の選者は、ドラマ評論家・成馬零一。(編集部)

1.『放課後ソーダ日和』(ALPHABOAT)
2.『宇宙を駆けるよだか』(Netflix)
3.『獣になれない私たち』(日本テレビ)
4.『透明なゆりかご』(NHK)
5.『おっさんずラブ』(テレビ朝日)
6.『恋のツキ』(テレビ東京)
7.『トドメの接吻』(日本テレビ)
8.『ハラスメントゲーム』(テレビ東京)
9.『今日から俺は!!』(日本テレビ)
10.『結婚相手は抽選で』(フジテレビ)

 1位の『放課後ソーダ日和』は、三人の女子高生が放課後に様々な喫茶店のクリームソーダーを飲み歩く中で、少しずつ成長していく姿が描かれた一話10分弱の青春ドラマ。枝優花監督の映画『少女邂逅』のアナザーストーリーで、監督・脚本・編集を枝が一人で担当。こんな面白い青春ドラマがYouTubeでいつでも見られるのだから、いい時代になったなぁと思う。羊文学の主題歌「ドラマ」も素晴らしい。

 2位の『宇宙を駆けるよだか』はネットフリックスで配信されていた入れ替わりモノで外見の美醜と内面の美醜は関係あるのかという重たいテーマが追求されていた。容姿が入れ替わった女子高生を演じた富田望生と清原果耶の演技が秀逸。かつて『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ)がやっていたことを彷彿とさせる傑作だ。

 両者に共通するのは高校生の悩みと向き合った10代向けの青春ドラマだと言うこと。今年はWEBドラマの傑作が多く、質と量が一気に底上げされた。

 地上波は女性脚本家の作品に傑作が多かった。その筆頭が野木亜紀子だ。今年は『アンナチュラル』(TBS)、『フェイクニュース』(NHK)、『獣になれない私たち』とオリジナルドラマを3本も手がけたが、どれも傑作。3本ともランキングに入れてよかったが、一番強く作家性が出ていた『獣になれない私たち』を3位に入れた。

 4位の『透明なゆりかご』の脚本は『リッチマン、プアウーマン』(フジテレビ)等の月9ドラマを手がけてきた安達奈緒子。月9の華やかなドラマを書いていた時は見過ごされていた安達の作家性が広く知られることになった記念碑的作品だ。

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