長谷川博己、小日向文世、山内圭哉、阿部寛…… 秋ドラマの“ブラック社長”“ホワイト社長”は誰だ?

秋ドラマ、ブラック社長&ホワイト社長は?

『下町ロケット』(c)TBS

 そして、このクール随一の社会派ドラマ『下町ロケット』(TBS系)には、阿部寛演じる「佃製作所」の佃をはじめ、社長が大集合している。「帝国重工」の藤間社長(杉良太郎)、佃を裏切った「ギアゴースト」の伊丹社長(尾上菊之助)、佃の会社を潰そうとする「ダイダロス」の重田社長(古舘伊知郎)、「キーシン」の戸川社長(甲本雅裕)。これだけ「社長」と呼ばれる人だらけのドラマも珍しい。こちらも善悪の構図は時代劇並みにはっきりしていて、佃以外の社長は自分の会社は守っているかもしれないが、ライバル会社や下請けに対する態度がひどすぎる。その一方、佃のキャラクターはシーズン1から変わらず、モノづくりへの情熱に燃え、お人好しで、自分の会社の資金を使ってでも他人の会社を救おうとするほど。佃は『まんぷく』の萬平がそのまま現代に生きているような古き良きリーダーなのだが、萬平よりも部下の人間性を理解し尊重しているところが魅力的だ。ブラック度は、おそらく社員の給料が高くないということと残業が常態化している点を考えて20%。

 結局、一番のホワイト社長は誰? と考えると、やはり『下町ロケット』の佃だろうか。他には『リーガルV』の京極代表(高橋英樹)、『SUITS/スーツ』(フジテレビ系)の幸村所長(鈴木保奈美)も考えられるが、京極は経営者としては無邪気すぎるし、幸村には少しパワハラ傾向がある。見逃しがちなところで『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS系)のヒロインの母であり、レディースクリニックの院長である薫(草刈民代)も。薫は受付の女性をリストラするときも次の就職先を紹介して良心を見せた。

 結局、完璧なホワイト社長なんて存在しないのかもしれない。『まんぷく』以外はそろそろ最終回。せめてドラマの世界では、ブラック社長が心から反省し、ホワイト社長が救われる展開を期待したい。

■小田慶子
ライター/編集。「週刊ザテレビジョン」などの編集部を経てフリーランスに。雑誌で日本のドラマ、映画を中心にインタビュー記事などを担当。映画のオフィシャルライターを務めることも。女性の生き方やジェンダーに関する記事も執筆。

■放送情報
木曜ドラマ『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』
テレビ朝日系にて、毎週木曜21:00~21:54放送
出演:米倉涼子、向井理、林遣都、荒川良々、内藤理沙、安達祐実、三浦翔平、勝村政信、小日向文世、高橋秀樹、菜々緒
脚本:橋本裕志
音楽:菅野祐悟
企画協力:古賀誠一(オスカープロモーション)
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:大江達樹(テレビ朝日)、峰島あゆみ(テレビ朝日)、霜田一寿(ザ・ワークス)、池田禎子(ザ・ワークス)、大垣一穂(ザ・ワークス)
演出:田村直己(テレビ朝日)、松田秀知
制作協力:ザ・ワークス
制作著作:テレビ朝日
(c)テレビ朝日
公式サイト:http://www.tv-asahi.co.jp/legal-v/

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