吉高由里子が見せた“正義”という名の怒り 『正義のセ』向井地美音から背負った勇気
『正義のセ』の1つのクライマックスとなるのは、事件の犯人を前にして取り調べの末に、自供させる場面だ。罪を認めながらも、「こんなの大したことじゃないだろ」と開き直る犯人に、凜々子は机を叩き、立ち上がって「大したことなんです!」と怒号する。今も苦み怯えている女子高生が、勇気を出して被害届を出してくれたこと。その勇気を背負い凜々子は村井を追い詰めていく。
「あなたのしたことは、彼女の笑顔と明るい高校生活を奪っただけじゃない。1人の女性の将来が変わってしまうほどの罪なんです。そのことを心に刻んでもう二度としないと誓ってください」。瞳に涙をためながら、犯人に言葉を投げつけていく凜々子の姿は、第7話にて相原が1人の父親として保育園の園長に怒りを見せたシーンを思い起こさせる。凜々子の場合、同じ女性として被害者を守りたいという気持ちが強く表れた場面であり、相原の言葉通り、凜々子は自分のためではなく、被害者のために犯人と戦っていることが伝わってくるシーンだ。
ラストには梅宮が「君はもっと強い検事になる」と凜々子にエールを送っていたが、次週第10話はついに最終回を迎える。国会議員の息子による刺殺事件という、重圧のかかる案件を前にして、凜々子は被害者のために正義を貫くことができるか。
■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter
■放送情報
『正義のセ』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00~
出演:吉高由里子、安田顕、三浦翔平、広瀬アリス、平埜生成、夙川アトム、大野拓朗、塚地武雅、宮崎美子、寺脇康文、生瀬勝久
脚本:松田裕子、松本美弥子、梅田みか
原作:阿川佐和子「正義のセ」シリーズ(角川文庫)
音楽:得田真裕
演出:南雲聖一、明石広人、岩崎マリエ
制作協力:AXON
制作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/seigi-no-se/