吉高由里子が見せた“正義”という名の怒り 『正義のセ』向井地美音から背負った勇気

『正義のセ』吉高由里子が見せた怒り

 『正義のセ』(日本テレビ系)最終回前のセミファイナルとなる第9話は、凜々子(吉高由里子)が検事として最大のピンチに遭う。それは、過去に担当した痴漢事件の真犯人が逮捕され、冤罪を出してしまうというもの。凜々子は、港南支部の面々に助けられながら、事件を解決に導いてく。途中、凜々子は検事として本当に正しいことをしているのか、と自問自答するが、握りしめた拳に込められていたのは、“正義”という名の怒りだった。

 凜々子が起訴した被疑者・村井直陽(東幹久)は、ネット掲示板から生まれた集団痴漢グループの1人。凜々子の起訴に対して、真犯人が現れたため、村井への冤罪と思われたが、電車内ではまた別の痴漢事件が発生していた。冤罪を出してしまった、というニュースはマスコミによってネットで瞬く間に広まり、凜々子は意気消沈していく。「絶対に冤罪だけは出さない」と心に決めていた凜々子は、検事バッジに触れ、責任を取るために職を辞することを仄めかす。

 そんな凜々子に優しく声をかけたのが支部長の梅宮譲(寺脇康文)。冤罪を出してしまった自分の判断結果に思い悩む凜々子へ梅宮は、「人は誰だって完璧じゃない。それは検事だって同じだ。人間が人間を裁くんだから、絶対なんてことはないんだよ」とアドバイス。さらに、大塚仁志(三浦翔平)のサポートもあり、凜々子はもう1人の被害者の坂下あゆみ(向井地美音)へとたどり着く。

 ここで印象的なのが、坂下の話を聞いた凜々子がスカートを巻き込みながら拳を強く握りしめるシーンだ。痴漢の恐怖に学校も行けず、大好きな制服も着られなくなってしまった女子高生の姿に、凜々子は被害届を出すことをお願いする。この時、凜々子は仕事に自信を持てなくなってしまっていた。冤罪から逃れるために、自分は村井の罪を暴こうとしているのだと。

 だが、彼女の担当事務官としてバディを組む相原勉(安田顕)は、しっかりと彼女の中にある“正義”を見出していた。「被害者の話を聞いて、泣いたり、怒ったり、いつも拳を握りしめている検事が自分のことなんか考えてるわけないじゃないですか。あなたは自分のために戦ったことなんてありません。いつも被害者のために戦ってます」。凜々子は、被害者を守るため、これ以上被害者を出さないために、村井の取り調べに再び挑む。

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