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2018年、ドラマ界のトレンドはどう変わる? ドラマ評論家座談会【後編】

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 リアルサウンド映画部のレギュラー執筆陣より、ドラマ評論家の成馬零一氏、ライターの西森路代氏、佐藤結衣氏を迎えて、2017年のテレビドラマを振り返る座談会を開催。前編では、『ひよっこ』『カルテット』『過保護のカホコ』など、2017年に大きな話題となった作品を中心に振り返りつつ、そこから読み解ける各局の傾向や社会の変化について語り合った。後編では、2017年に注目を集めた俳優たちを振り返るとともに、2018年のドラマ界の展望についても語り合った。

前編:2017年ドラマ評論家座談会【前編】 『ひよっこ』『カルテット』『過保護のカホコ』各局の話題作を振り返る

佐藤「『監獄のお姫さま』や『カルテット』はワチャワチャが許される空間」

西森:私と成馬さんはともに、2017年のベスト1位のドラマに『架空OL日記』(日本テレビ/読売テレビ)を挙げていますよね。

成馬:『架空OL日記』は、バカリズムが架空のOLになりきって書いていた個人ブログから始まっているんですよ。物語性が薄いので映像化は難しかったと思うのですが、今回、ドラマ化できたのは、その前に彼が脚本・原案を手がけた『住住』(日本テレビ)でも監督を務めた住田崇さんの力も大きいと思います。『住住』でバカリズムと住田監督が作り上げた会話の文体があって、それが『架空OL日記』では活かされています。その会話劇のトーンが今までのドラマにはないものだったので、1位にしました。

西森:いかにも“作った”という感じのOLはひとりもいませんでしたよね。今までのOLものだと、お局様が出てきていがみ合ったり、恋愛でいざこざがあったりと、ステレオタイプな表現になりがちでしたが、『架空OL日記』には一切それがなくて、登場人物たちがごく普通に毎日を過ごしているだけ。漫画の貸し借りとか、お茶っ葉をどうするかとか、ロッカールームの暖房器具が壊れて買いに行ったりとか。本当にたわいもないエピソードの積み重ねなんだけれど、終わるとなるとすごく寂しい気持ちになって。

佐藤:『監獄のお姫さま』(TBS)や『カルテット』(TBS)もそうなんですが、ドラマを観ている時間、その世界を生きているキャラクターたちと空間を共有している、みたいな感情が芽生えるんですよね。ワチャワチャが許される空間って、大人になるほど少なくなるように思うんです。それこそ、『監獄のお姫さま』にあったように、「先に結論から言ってください」って言われるのが現実だから。最終回になると、もうそこには遊びにいけないんだっていう寂しさに繋がるんじゃないでしょうか。

成馬:あの世界からはじき出されたように気持ちになるんですよね。『架空OL日記』の世界は、これからも続いていくんだけれど、自分はもうその空間には入れてもらえなくなってしまったような。実際、バカリズムさんは女装しているときは出演者のみんなが仲良くしてくれるけれど、着替えて帰る段階になると急に冷たくなるってことがあったらしくて。おそらく演者の間にも特別な空間が形成されていたんでしょうね。

西森「夏帆さんは女性の群像劇には欠かせない」

西森:『架空OL日記』や『伊藤くん A to E』(MBS/TBS)もそうですけれど、2017年の好きなドラマには必ず夏帆さんが出ていて、女性の群像劇には欠かせない存在だなと感じました。『伊藤くん A to E』は、伊藤くんというクズ男子を巡る女性たちの話なんですけれど、結局は伊藤くんがクソすぎて女子同士に小さな連帯感が生まれるんです。ダメな男性がいて、女性同士が連帯するという意味では、『監獄のお姫さま』にも通じる構造ですよね。夏帆さんはそういう女性たちのシチュエーションにハマる女優なのかなと。私にとっては夏帆さんを見ていた1年でした。このドラマの中の男性俳優だと、山田裕貴さんと中村倫也さんがすごくよかったです。どちらも脇でちょっと変わった役柄をやっていて。

佐藤:中村倫也さんは『新宿セブン』(テレビ東京)でKAT-TUNの上田竜也のバディ役をやっていたのが良かったですね。

西森:あとは『スーパーサラリーマン左江内氏』(日本テレビ)で、ムロツヨシさんとやっていた掛け合いも印象的でした。決して派手なタイプではないけれど、色んな種類の作品に出ていて面白かったです。

成馬:でも、男性俳優でいうと、2017年は高橋一生さんがとにかく目立ちましたね。しかも、全部主演ではなかったのがすごい。2015年の『民王』(テレビ朝日)くらいから評価は高くて、すでに名脇役とは言われていたけれど、『カルテット』で一気に火がついた感じ。

佐藤:高橋一生さんの演技は、クセの強い役を演じても、どこか“こういう人いる”と思わせる力があるように思います。特徴的なのに、悪目立ちせず、物語をしっかりと引き立てることができる稀有な俳優さん。あの鼻にかかった独特の声が聞こえてくると、テレビ画面から目をそらしていても「あ、出てきた!」と嬉しくなります。

西森:声のいい人はいいですよね。『陸王』(TBS)に出ていた志賀廣太郎さんも、いい声でした。志賀さんのことを考えると、2017年は脇で光る俳優さんにスポットが当てられた一年だったのかなと。名脇役と呼ばれる方々を集めた『バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~』(テレビ東京)などは、とても象徴的ですよね。同作に出演していた遠藤憲一さんや松重豊さんは、いまやCMでも引っ張りだこですし。

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