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現役看護師が『コウノドリ』のテーマを考察 データが示す“出産後の育児”の現状とは?

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 10月13日からスタートした『コウノドリ』の第2シリーズ。サブタイトル「命についてのすべてのこと」が題するように、舞台となるペルソナ医療センターで出産をテーマに妊婦とその家族、そして産科医、小児科医、助産師、看護師、など新しい命を迎える医療関係者が織りなすヒューマンドラマの続編で、前作に続き好調だ。

 第1シリーズでは、未受診妊婦、妊婦の喫煙、切迫流産、助産院での出産、18トリソミーなどさまざまな背景を背負った妊婦の出産にクローズアップし、ひとつの命が誕生することの尊さを描いたものが多かったが、今期は出産後の育児も視野に「親になること、家族になることとはどういうことか」をテーマに、真に迫ったストーリーが展開されている。

 特に、産後うつにおいては、第1話のプロローグから産科医・鴻鳥(綾野剛)の担当した妊婦の自殺が示唆され、第1話から3話で取り上げられた、同僚の産科医・四宮(星野源)が担当する妊婦・佐野彩加(高橋メアリージュン)が同症状で疲弊していく様を描きながら、社会問題としても警鐘を鳴らした。

 この問題を踏まえて、産科医・下屋(松岡 茉優)が言った「赤ちゃんを増やそうってみんな言っているのにどうしてこんなにお母さんが生きづらくなっていくのかな」という言葉は、現代を生きる女性が子どもを産み、安心して子育てしていくためのサポートの必要性を提起している。妻にとって一番のサポーターは身近である夫であり、家族だ。

 そんな男性の育児参画を推進する「イクメンプロジェクト」は、2010年の発足から7年が経過した。「イクメン」とは子育てを楽しみ、自分自身も成長する男性や、将来そんな人生を送ろうと考えている男性を指す。2016年度の男性の育児休業取得率は3.16%と低いながらも過去最高となり、年々、その割合を伸ばしつつあるものの、日本の男性が家事・育児をする時間は他の先進国と比べて最低水準であることは変わらず、育休制度の浸透率を考えると、「イクメン」という言葉だけがひとり歩きをし、時には都合のいい解釈で語られる現状は否めない。

 第2話、第3話で放送された産後うつに悩まされた佐野彩加の夫、佐野康孝 (ナオト・インティライミ)もその一例だ。「会社ではイクメンと呼ばれている」と胸を張るも、妻が妊娠、出産を迎えても、仕事中心の生活は変わらず。心室中隔欠損の我が子を迎え、育児不安を訴える妻に、「大丈夫、一緒に俺も手伝うから」とは言うが、妻の退院後も協力体制はおろか、仕事中心の生活は変えない。また、彩加の異変に気付いた新生児科医白川(坂口 健太郎)が、夫婦での育児相談を提案しても多忙を理由に時間を作らず、育児休暇もとらない。たまに家に帰れば、育児ストレスで苛立つ妻に「出産してから性格が変わった。このままじゃ俺しんどい」とぼやくありさまだ。さらに窮地に追い詰められ、自殺未遂を起こした妻に「なぜこんなことを。言っただろう、夫婦は2人でひとつだって」と無神経な発言をしてしまうのだった。

 一連の行動を見かねた四ノ宮が「人間は2人でひとつになんかなれない。死ぬまでひとりだよ。たとえ夫婦でも別々の人間だからこそ、お互いを尊重しあう。それではじめて助け合えるんだよ」と叱責され、ようやく自分がしてきたことの重大さに気づく。そして「俺、イクメンじゃなくて父親になるから」と妻に告げ、ようやく父親としての自覚が芽生えはじめるのだ。

 実際、佐野夫妻のように夫が妻に育児を任せっきりになってしまっているケースも少なくないのではないか。そこで、男性が子どもを迎えるにあたって必要なことや、育児サポートの現状について述べたい。

 第1子を妊娠、出産する母親にとって夫からの物理的・情緒的サポートは、初産を迎える妻にとって非常に重要なこととされる。これを踏まえて、「妻の妊娠中における夫の変化について、夫と妻に認知の差があるか」(2004)という興味深い研究が行われている。その結果、夫が妻の身体を気遣うようになり、他の子どもに対して興味を持つようになったと感じる点では、夫と妻の意識の差がなかったが、夫は意識的に、帰宅時間を早くし、妻の話を良く聞くようになったと自身を評価する一方、妻は、夫が妊娠を期に家事を手伝うようになったが、より一生懸命に働くようになったとも感じており、夫婦に捉え方の違いが顕著に現れる結果となった。

 このように、夫と妻の間で互いへの気遣いにおける認知の差は研究上においても指摘されているため、妊娠を機に夫婦がよりコミュニケーションを密にし、夫婦から家族へのチーム編成をよりスムーズに移行するために準備をすることが必要だ。しかし、出産する当事者で、出産後のことをよりイメージしやすい妻に比べて、自身の体や生活スタイルに変化が生じない夫にとっては「父親になる」「家族が増える」という心算をしても、妻の出産前からこれらをより身近に捉えるのはなかなか困難であることも否めない。近年では、夫の育児サポートの一環として出産前から両親学級への参加が推奨されているが、ここで大事なのは、育児体験やイメージトレーニングだけではなく、これらの経験を経て、夫が産後、どれだけ妻と子どもと一緒に過ごす時間がとれるのかを考えることだ。そのために出産前に夫ができることは、今の自分の働き方の見直しと職場へ子どもを迎えることの周知をし、協力を得ることである。そこで、産前産後の夫の育児サポート状況の詳細を示した調査結果を紹介したい。

 「父親の出産前後の休日取得状況とサポートの実態」(2014)によると、育児休暇をとった男性は全体の51.5%で、その内訳は、「有給休暇」が38.4%、「勤務先が定めた、配偶者出産休暇などの特別休暇」が17.4%を占めた。また、休暇取得時期においては、「出産当日」が73.8%、ついで「産後8週までの期間」が53.9%、「出産前に取得」が32.7%で、取得日数は「3日」が20.0%、ついで「5日」が17.7%、「2日」が14.2%であった。

 この調査で産前産後に半数以上、産後6週から8週にあたる出産後の女性の身体が出産前の状態に戻るとされる産褥期を踏まえて夫が休暇をとっていることがわかったが、育児休業制度そのものを利用したのは全体の4.3%に過ぎず、その理由として「忙しくてとれそうもないから」が29.1%、「職場に迷惑をかけるから」が27.2%、「特にない」が21.1%となった。また、子どもの出産後4ヶ月間に、夫が取り組んだ育児については、「赤ちゃんのおむつをかえた」が74.2%、ついで「赤ちゃんを抱いてあやした」が69.9%、「ごみを出した」が67.4%となり、育児や生活のサポートがトップ3を占めた。また、「配偶者の話し相手になった」が65.8%と高い割合となり、妻への心的サポートについても配慮していることも明らかになった。

      

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