瑛太&森田剛、“ドブネズミ”のアクションシーンに注目 『ハロー張りネズミ』第3話のハードな描写
“うっかりエロスちゃん”の呼び名が似合うもミステリアスな雰囲気が漂う四俵蘭子(深田恭子)からの依頼で、25年前の貿易会社副社長の死を調べ始めた「あかつか探偵事務所」の面々。先週放送された第2話は、重要な証拠となる書類を持っている南(リリー・フランキー)の出版社に爆弾が投げ込まれる波乱のラストを迎えた。
28日に放送された『ハロー張りネズミ』第3話では、殺人の証拠となる資料を狙って雇われた不気味な男と、「あかつか探偵事務所」の“ドブネズミ”二人の格闘シーンが見どころとなる。まずは事務所を舞台に繰り広げられる森田剛演じる“グレ”との一戦は、「あんまり時間がねえんだよ」と言い放つ男に、「こっちは暇なんだよ」とクールな返しで幕を開けた。
互角の肉弾戦から、羽交い締めにしてきた相手の腕をカッターナイフで何度も刺す。22時台のドラマとはいえ、リアルな効果音も伴ってハードな描写である。これまで劇中で見せてきたおチャラけた一面があるからこそ、「もっと遊ぼうぜ」と血のついたカッターを向ける森田剛の姿に、昨年の『ヒメアノ〜ル』での怪演を思い出さずにはいられない。
一方で瑛太演じる五郎は、同じ相手とホテルの廊下で真っ向からぶつかり合う。こちらでは、蘭子が人質に取られ、銃を向けられている中で、丸腰で立ち向かうのだ。部屋から出た瞬間に相手の腕を取って、壁に叩きつけ、銃から引き離す。これまでの頼りなさげなイメージを一気に覆す、基礎的な護身術を難なく披露するあたり、“ドブネズミ”であっても優秀な探偵だと判る良質なアクションシーンだ。
それにしても、2週に渡って前後編で描かれた今回の「蘭子という女」編。事件の真相に繋がるわかりやすいヒントを主人公が読み違えるというミスリードも含め、何だか随分とこざっぱりしたまとめられ方をした印象を受ける。結局副社長と派閥争いをしていた現会長と、利権を狙った政治家が関与していた殺人事件だったという、視聴者が判っていたこと以外明かされないというのは妙に釈然としない。
あくまでも、この依頼人・四俵蘭子という女が「あかつか探偵事務所」に入るに至るプロセスを辿ったに過ぎなかったという解釈でいいのだろうか。彼女が事務所で働き始める直前のシーン、今回の案件がひと段落して、「また会えますか?」と問う五郎に、無言で歩き去っていく蘭子の後ろ姿からは、まるで『第三の男』のラストシーンでアリダ・ヴァリが歩き去っていく場面を思わせるような空虚さを感じた。先週「何か裏がある」と所長が語っていた、“裏”がまだ登場していない以上、この後にも何かがある予感が漂う。