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松たか子の“声”と満島ひかりの“動き”、対比的なふたりの攻防ーー『カルテット』第二話レビュー

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 『最高の離婚』『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』の坂元裕ニが脚本、『逃げるは恥だが役に立つ』『重版出来』の土井裕泰が演出・チーフプロデュース、そして松たか子、満島ひかり、松田龍平、高橋一生という最高の演技巧者たちが揃った『カルテット』は、期待を上回る上質なドラマだ。一度だけではもったいなくて、録画してつい何度も見直してしまう。見れば見るほど新しい発見がある。言葉の面白さに、小道具の伏線に、俳優たちの細やかな動きに、思わずハッとさせられるのだ。

 東京のカラオケ店で“偶然”出会った男女4人がカルテットを組み、軽井沢の別荘で共同生活をする。ネガティブで囁くように話し、激しい感情を併せ持つ真紀(松たか子)と、どこでも寝てしまう自由奔放なすずめ(満島ひかり)、いつも理屈っぽい持論を展開し、セクシーな一面もみせる家森(高橋一生)。そしてメンバーの中で一番しっかりした常識人に見えるが、どこかぶっとんでいる意外性の別府(松田龍平)。共同生活を始める彼らの最初の日が、雷雨から晴れ間、快晴へと変わっていく様は、今後の展開の明るさを予兆していると言えよう。

 「カルテットドーナツホール」。それが彼らのユニット名だ。「音楽っていうのはドーナツの穴のようなものだ。何かが欠けているやつが奏でるから音楽になるんだよね」、1話に登場する「ニセ余命9ヶ月のピアニスト」ベンジャミン瀧田(イッセー尾形)の言葉が由来している。その名前の通り、彼ら4人はどこか抜けているし、器用に生きられない大人たちだ。全員が全員片思いしていて、全員が全員、秘密を持っている。小さな嘘を小さな冗談でごまかして、知っていても知らないと、優しい嘘をつく。

 彼らを取り巻く人々もまた、ベンジャミン瀧田だけではなく、何かが欠けている人たちばかりである。ライブレストラン「ノクターン」の店員・有朱(吉岡里帆)の笑っていない目は空洞のようだし、別府が好意を抱く同僚・九條(菊池亜希子)は婚活で知り合ったタイヤ(これもまたドーナツ型)の話をする婚約者と結婚する。

 また、彼らの共同生活の始まりの日に真紀が話す、カモの赤ちゃんが排水溝に次々と落ちていく動画のイメージが、1話で車のペインティングの最中に真紀以外の3人が地面の氷に滑って次々と滑って転ぶ場面と、2話でカーリングの最中に真紀以外の3人が次々と滑って転ぶ場面に繋がることも可愛らしく秀逸であり、「ホール(穴)」にまつわる比喩なのだろう。

 目が離せないのは、このドラマのサスペンス性を際立たせる真紀とすずめの探りあいである。真紀には1年前に失踪した夫がいる。そしてすずめは、真紀を疑う義母・鏡子(もたいまさこ)に頼まれて、真紀のことを探るために動いている。

 松たか子と満島ひかりの2人が素晴らしい。松は声で、満島は動きでその感情を示す。しばらく時間を置いてから感情を爆発させる真紀と、本当の感情は左手の中に隠し、そっとその手を震わせるすずめとの対比が美しい。

 真紀とすずめの攻防は表面上穏やかに進むが、2話の最後に大きく変化する。そこで示されるのが、テトラポット型のコーヒー牛乳とワインの空き瓶である。

 すずめはテトラポット型のコーヒー牛乳をよく飲んでいる。彼女がそれを飲んでいるのは、鏡子と初めて出会った時であり、真紀に探りをいれる時であり、こっそり盗み聞きしている時、真紀の告白を鏡子に聞かせるという形で懺悔さながら教会に持ち込む時なのである。そのことを知ってか知らずか、真紀はすずめにそのテトラポット型のコーヒー牛乳をプレゼントする。それを与えられたすずめは、それを飲みながら再び聞き込みをはじめる。さらに服に染み付いた鏡子の残り香を指摘された彼女は、焦ったようにワインの空き瓶を捨てに行こうとする。まるで証拠を隠すように。

      

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