「出版界のローンウルフ」角川春樹、84歳でSNSデビュー 脳梗塞からの“ネバーギブアップ”はミームとなるか
出版界・映画界を半世紀にわたり牽引してきた角川春樹(角川春樹事務所代表取締役社長、84歳)が、X、YouTube、Instagramを相次いで開設した。いずれも本人が直接メッセージを発信するアカウントで、共通のキーワードとして掲げられているのが「ネバーギブアップ」だ。2025年8月に脳梗塞で倒れ、リハビリを続けてきた角川が、自身の回復過程までも公にしながら新たな発信を始めた。
起点となったのは6月1日に始動したYouTubeチャンネル「角川春樹のネバーギブアップ」。「出版界のローンウルフ」を肩書きに掲げ、毎週月曜19時に動画を公開していくという。Xの初投稿でも「私の生き様をこれから公開していく」と告知した。公開動画では開設の動機として、「角川春樹という存在が世の中にどの程度認識され、どんな反応があるのか」を客観的に見てみたかった、という趣旨を語っている。チャンネル名は当初「俺様チャンネル」案もあったが、より普遍的で世界に届きやすいとして「ネバーギブアップ」に落ち着いたという。
Xでは連日のペースで投稿が続く。6月2日には「24歳になり『自分が周りに合わせるのはもうやめよう。周りが俺に合わせればいい』」と半生の原点を綴り、6月3日には5月28日に開いた「角川春樹小説賞」最終回(第18回)の選考会を報告。同賞は今回で終了し、新たに「角川春樹文庫大賞」の創設が告知されている。Instagramの投稿は「Xは付けられた公式マークがなかなか付かないじゃないか!ということで、角川春樹がインスタグラムも始めます」と告知され、「どんな常識も、前例も、ルールもぶち壊す」と添えられている。
23歳までの私は、周囲に合わせて生きようと自分なりに努力はしていた。だが、生きずらかった。24歳になり「自分が周りに合わせるのはもうやめよう。周りが俺に合わせればいい。」
20代に決めた生き方は変わらない。
角川春樹
角川春樹のYouTubeチャンネルが始動!https://t.co/vteXb2H6Ru pic.twitter.com/mkEjLzIxYm
— 角川春樹オフィシャル (@haruki_kadokawa) June 2, 2026
なかでも反響を呼んだのが6月4日の投稿だ。「脳梗塞で要介護3と認定され左半身麻痺だった私は、懸命なリハビリによって杖で歩けるようになり」「全く動かなかった左手を動かせるようになり、左足の装具を自分の手で装着することができた今日、嬉しくてたまらなかった」「私は自分を諦めない。ネバーギブアップ」と綴られたこの一本は大きな反響を集めている。
脳梗塞で要介護3と認定され左半身麻痺だった私は、懸命なリハビリによって杖で歩けるようになり、「命と引き換えに神に差し出したと思って生きてください」と医師から言われた、全く動かなかった左手を動かせるようになり、左足の装具を自分の手で装着することができた今日、嬉しくてたまらなかった。…
— 角川春樹オフィシャル (@haruki_kadokawa) June 4, 2026
一連の発信を貫くのは、やはり「ネバーギブアップ」の一語。角川は動画内で「七転び八起き」を自身の状況になぞらえ「八転び九起き」と読み替えてみせている。脳梗塞という“もう一度の転倒”からなお立ち上がる自己像を凝縮した表現だ。84歳の“伝説の出版人”が回復のストーリーと結びつけて発信するこのフレーズが、個人の標語を超えてミームとなるか。角川自身がそれを十分意識した設計で発信を始めていることは間違いない。
























