在宅緩和ケア医・萬田緑平『死ぬまで生きる』刊行 穏やかな最期のあり方を問う

在宅緩和ケア医・萬田緑平の最新刊発売

 在宅緩和ケア医・萬田緑平の最新刊『死ぬまで生きる 穏やかな死に医療はいらない』(河出新書)が4月28日(火)に発売された。

 本書『死ぬまで生きる』は、「胃ろう」「点滴」「抗がん剤」などの延命治療の実態、病院医師が帰宅に反対する理由から、自宅だから迎えられた穏やかな最期の実例、ある終末期のがん患者が病院治療を続けた場合と、在宅緩和ケアを選択した場合のシミュレーションまでをつまびらかにする、「本当に幸せな最期とは何か」、「どうやってそれを実現するか」がつづられた著者からのメッセージ。

人生の最終章のシナリオを書くのは患者さんであること。涙を乗り越えた患者さんは幸せな死を受け入れる強さを持てること。余命は医師ではなく、患者さんが決めること。[…]生まれてきたときに「おめでとう」なら、亡くなるときもハッピーエンド。本書をきっかけにして、自宅で死ぬまで生きる在宅緩和ケアという選択肢があることを知っていただけると、こんなにうれしいことはありません。(「はじめに」より)

歩けなくなると、今日できていることのほとんどができなくなります。トイレに行けない。おむつになる。この現実が生きるつらさになってしまうのです。だから僕は外来で患者さんにハッパをかけます。歩けなくなったら死んじゃうよ。でもがんばって歩いていれば死ぬまで歩けますよ。歩いているうちは死なないよ。死ぬ前日まで歩きましょう。歩いて棺桶に入りましょう。「死ぬ」「死ぬ」の連発ですが、患者さんのリアルな恐怖はそんなことよりトイレに行けなくなること。目標は亡くなる前日までトイレに行くこと!と言うと、ほとんどの患者さんは目を輝かせます。「そんなことが可能なんだ!」と。(第三章 歩けることが生きる力「目標は亡くなる前日まで元気でいること」より)

本当の看取りの場面は、もっと穏やかです。亡くなる一五分前に最後の訪問入浴を楽しみ、「極楽~極楽~」と笑っていたおばあちゃん。「ありがとうと言わないと神様は迎えに来てくれないんじゃないですか」と僕に背中を押されて、すぐさま「おい!」と妻を呼び、情感たっぷりに涙を流すしぐさをしながら「ありがとう!」と告白してご家族の爆笑を誘ったおじいちゃん。「感謝状!あなたの愛する家族一同より」と、亡くなる前日にご家族から感謝状をもらったお父さん。抗がん剤治療を拒否して家に帰ってきた妻を囲み、二人の幼いお子さんと夫が円陣を組んで、団結式をしたご家族。たくさんの感謝、思い出話や来世の約束、はたまた内緒にしていた悪さのお詫びも飛び出し、実に温かいご家族の愛と歴史に縁どられています。ドラマの最終回よりずっとすてきな場面が、自宅の看取りの現場ではたくさんあるのです。(第4章 自分の最期は自分で作る「最期の日がくる前にお別れをしよう」より)

目次
はじめに
プロローグ 僕が外科医をやめたわけ
 病院医師にとって患者さんの死は敗北
第1章 上手に枯れて穏やかに死ぬ
 「ゆっくり」「じんわり」穏やかに生き抜く/すべての治療は延命治療――胃ろう/すべての治療は延命治療――点滴/すべての治療は延命治療――抗がん剤/もしも余命一カ月と言われたら僕が受けたくない医療
第2章 自宅はホーム、病院はアウェイ
 病院医師が帰宅に反対する理由/自宅だからできる穏やかな死/一人でも自宅で死ねる/「本当の看取り」に医者はいらない
第3章 歩けることが生きる力
 外来は歩くための萬田道場/元気な高齢者は努力している/医療用麻薬は最後の薬ではない
第4章 自分の最期は自分で作る
 死を受け入れよう。でも余命診断は当たらない/最期のお別れはお早めに/人はどんなふうに亡くなっていくのか
第5章 これまでの死の光景、これからの死の光景
 自宅で自分らしい死を迎えるためのチェックシート

著者紹介
萬田緑平(まんだ・りょくへい)
「緩和ケア 萬田診療所」院長。1964年生まれ。群馬大学医学部卒業。群馬大学医学部附属病院第一外科に所属し、外科医として手術、抗がん剤治療、胃ろう造設などを行うなかで終末ケアに関心を持つ。2008年、「緩和ケア診療所・いっぽ」に移り、緩和ケア医に転身。2017年、がん専門の緩和ケア診療所を開設するために独立。亡くなるまで自宅で暮らしたい人のために外来と訪問診療でサポートしなら、日本全国で年間50回以上の講演活動を行っている。著書に『自宅で迎える本当に幸せな最後のとき』(河出書房新社)、『家で死のう! 緩和ケア医による「死に方」の教科書』(三五館シンシャ)、『棺桶まで歩こう』(幻冬舎新書)などがある。

■書誌情報
『死ぬまで生きる 穏やかな死に医療はいらない』
著者:萬田緑平
価格:990円(税込)
発売日:2026年4月28日
出版社:河出書房新社

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