【漫画】人間に捨てられた植物、その後どうなる? 儚い世界をリアルに描いた『俺の日陰で』

【漫画】人間に捨てられた植物のその後

 本来の生息地ではない場所に生物が放り込まれると、何が起こるのか。外来種問題は動物に限った話ではなく、植物も例外ではない。今回紹介する『俺の日陰で』は、捨てられた植物の“その後”を描いたストーリーで、SNSを中心に話題を集めている。

 今回は、作者である高川ヨ志ノリさん(@hiyokoblack)に、本作の着想やラストの展開について話を伺った。(はるまきもえ)

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『俺の日陰で』(高川ヨ志ノリ)

擬人化植物で描く生物界のリアル

ーー『俺の日陰で』は、先輩植物のもとに、園芸品種である後輩植物が捨てられるところから物語は始まります。着想はどこから得たのでしょうか?

高川ヨ志ノリ(以下、高川):当時、近所の園芸店に通い詰めていたんです。実際に植物を買って育てたりもしていたのですが、あるとき近所の河原に園芸品種と思われる植物が生えていることに気づきました。もともとそこにいなかった生き物を人間の勝手で手放すとどういうことが起こってしまうのか……ということが、本作を通してふんわり伝わったらいいなと思ったんです。

ーー2人は出会うことで、植物としても互いに影響し合いますよね。2人のビジュアルはどのように考えたのでしょうか?

高川:キャラクターの設定は、事前にあまり作り込まないタイプなんです。先輩は途中で“影を作る”シーンがあるため、面積の多い衣装とヘアスタイルにしました。後輩は園芸品種なので華美な見た目に、ということだけ決めて、あとは手癖で描いていった感じです。読者の方から先輩の「見た目が好き」と言っていただくこともあり、嬉しいですね。性別についてもたまに聞かれるのですが、植物なのでそのへんはとくに決まっていないです。

ーーコメントにもありましたが、背景も手描きで描かれているんですね。

高川:私の作品は背景もすベて手描きです。ちなみに『俺の日陰で』はB6判原寸で描いていて、1枚のB4判の原稿用紙に4頁分をまとめて描いています。あえてコマの枠と枠の間に余白を設けていないため、どれが枠の線なのか自然と見えてくるように構成をしています。

ーー原寸で描いていたのですね。高川さんの作品は独特な魅力に溢れていますが、セリフの言い回しもひとつの特徴ですよね。

高川:ただの“難しい漢字好き”が高じて、漢字は旧字体に総ルビを振り、仮名も歴史的仮名遣いをセリフに用いるようになりました。影響があったかどうかは定かではありませんが、太宰治や江戸川乱歩の小説に見られる、セリフの語彙やテンポには強く惹かれます。作品もまた、明治や昭和が現在まで続いている“並行世界”という設定で描くことが多いですね。

ーー本作の結末は、植物らしくも儚い展開となっていましたが、このような展開にしたのはなぜでしょうか?

高川:結末は、私がベランダで育てていた観葉植物を原因もわからず枯らしてしまったので、その体験をそのまま描きました。

ーーSNSではどんな反応がありましたか?

高川:冒頭では擬人化恋愛モノのように見せかけて、環境汚染の未来にしか見えない結末に着地する。その意外性が気に入っていただけているのかなと感じています。読者の予想を裏切りつつ、最後まで目が離せない作品として、多くの方に共有してもらえたら嬉しいですね。

ーー2024年には『怪奇古物商マヨイギ』が単行本化されましたが、制作期間を振り返っていかがでしたか?

高川:ひとりで毎月30枚ほどの漫画を描き続ける経験をしたことがなかったので、最初はそんな大仕事ができるか不安でした。走り始めてからは、助けてもらいながらもなんとか終えることができて本当によかったです。改めて振り返ると、とても楽しい期間だったように感じます。体力のあるうちに機会をいただけたら、もう一度くらい商業作品に挑戦したいなと思っています。

ーー今後はどんな作品を描いてみたいですか?

高川:怪異系のお話が描きたいですね。あと『怪奇古物商マヨイギ』の制作でストップしている同人誌の漫画もそろそろ進めたいなと思っています。

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