三パシ・みあ×モー娘。・野中美希の相思相愛対談が実現! 小説『君の記憶だけない』発売記念で互いの「青春」を語る


“恋をすると記憶を失ってしまう”。そんな特異な病に侵されたヒロインの女子高生・凛と、彼女にどうしようもなく惹かれた主人公・陸。二人は映画の撮影を通して少しずつ距離を縮め、思いを寄せ合う。しかし残酷な運命からは逃れられず、凛の病は徐々に進行していき――。
みあ(三月のパンタシア)の著作『君の記憶だけない』(双葉文庫パステルNOVEL)は、そんな儚くも眩しくて美しい、高校生二人の青春を描いたラブストーリーだ。
今回、著者のみあと、三月のパンタシアの大ファンだというモーニング娘。'25のリーダー・野中美希との対談が実現。アイドルとして多くの人々の青春時代を彩ってきた野中は、『君の記憶だけない』を読んで何を感じたのか。みあが本作に込めた思いや思春期の記憶も辿りながら、トークに花を咲かせた。
相思相愛の対談が実現
――お二人は今日が初対面ということですが、まずはお互いの印象を教えてください。
みあ:野中さんは英語が堪能で、才気煥発かつ容姿端麗な方という印象ですね。モーニング娘。'25(以下、モーニング娘。)のリーダーも務められているので、画面越しに見ているときは大人っぽいお姉さんというイメージでした。でも実際にお会いしてみると少女性やチャーミングさも持ち合わせていて、今すごくキュンキュンしています。
野中美希(以下、野中):嬉しい! ありがとうございます。私は2019年にリリースされた三月のパンタシアさんの「青春なんていらないわ」を聴いたときに「この曲すごい好き!」って惹かれて、そこから何年もみあさんの音楽を聴いているんです。ライブにも行きたいと思っていたくらいなので、今日はお会いできてとても嬉しいです。あと、みあさんの顔が小さすぎてびっくりしてます(笑)。
みあ:野中さんにそんなことを言われても……! それはこちらのセリフです(笑)。
野中:それに今、みあさんの紡ぐ言葉が美しくて素敵で驚きました。みあさんは美しい文章を書く方というイメージがずっとありましたが、話す言葉もキラキラしていて美しいんだなって。
みあ:ありがとうございます。

――今回の対談は、『君の記憶だけない』の帯コメントを野中さんが書いたことをきっかけに実現しました。野中さんにコメントをお願いした理由を聞かせてください。
みあ:今作は、10代から20代前半の若い世代に向けたレーベル「双葉文庫パステルNOVEL」から刊行させていただいています。なので、その世代のカリスマである野中さんにコメントをいただけたら嬉しいなと思ったんです。野中さんが読書家ということもあり、お願いしたら受けてくださったという流れですね。
野中:帯コメントの依頼が来たとマネージャーさんに聞いたときから「どんな本なんだろう?」ってワクワクしてたら、まさかのみあさんの小説で! もうめっちゃテンション上がって、三月のパンタシアさんの曲を流して世界観に浸りながら読みました。自分だけのセットリストを作ってループ再生したりして(笑)。
ーー野中さんは普段から音楽を聴きながら読書することが多いのでしょうか。
野中:普段は歌詞がある曲よりもインストの音源を聴きながら読むことが多いですね。朝コーヒーを飲みながら読んだり、寝る前や移動中、撮影の空き時間にもよく読んでいます。
みあ:野中さんはすぐに本の世界に入り込める方なんですね。私は内容を忘れちゃうことが多いので何かの合間にはあまり読めなくて、たっぷり時間をとって一気に読みたいタイプなんです。空き時間に読書へ没入できる集中力があるのは本当にすごいと思いました。
野中:『君の記憶だけない』は、自分の感情がすぐ引き込まれていくので、すごく入り込みやすかったんですよね。マネージャーさんから「えっもう読んだの?!」って驚かれるくらいのスピードで読んじゃいました(笑)。

――野中さんのファンの中にも、本作を読まれた方が多いと伺いました。
野中:そうなんです。「読みやすくてすぐ読めたよ!」「めっちゃ面白かった!」という声を、ブログのコメントなどでたくさんいただきました。同世代や上の世代の方も多いので、この小説を通して一緒に青春を思い出せているのかなと思うと、ちょっとニヤついちゃいましたね。ファンの方と感想を共有できたことも、今回帯コメントを担当させていただけてよかったなと思った瞬間でした。
『君の記憶だけない』の読みどころは
――今作は、“恋をすると記憶を失ってしまう”という設定が物語の肝になっていると思いますが、みあさんはこの設定をどのように考えたのでしょうか。
みあ:まずは自分が読んでエモーショナルな気持ちになれる小説を書きたいという思いがあって、それはどんな物語なのかを考えているうちに、私は“お互いの気持ちは通じているのに、障壁があって結ばれない”というシチュエーションに心を揺さぶられやすいと気づいたんです。だからそういった設定を取り入れつつ、オリジナリティも出したいと考えたところ、今回のアイデアに辿り着きました。
――制作で苦労した部分や、達成感を覚えた瞬間はありましたか?
みあ:「恋をすると記憶を失ってしまう状況に直面したら、二人はどんな選択をするんだろう?」と思ったことがきっかけで始まった物語なので、あまり出口を考えず、書き進めながら主人公とヒロインを動かしていったんです。ゴールのない道筋を歩んでいくという難しさはありましたが、最終的には陸と凛らしい結末を結べたなと満足しています。一応プロットを立ててはいたものの、書きながら具体的な肉付けをしていったので、徐々にキャラクターが立体的になって解像度が高まっていく瞬間は、小説を書いていて毎回面白みを感じる部分でもあります。
――本編は陸視点で進み、章ごとに凛の心情が挟まるという構成も、読者の心を引き込む要因になっていますよね。
みあ:陸視点で書きたいというのは最初から決めていましたが、凛が抱える切なさや心情をどう描くかはずっと悩んでいて。編集部の皆さんにも相談した結果、各章の冒頭にプロローグのような形で入れることに決めました。曲で言うと間奏みたいなイメージですね。この構成にすることで、より読者の皆さんが二人の気持ちに肉薄できるのではないかと思っています。

――野中さんは、本作のどんなところに惹かれましたか?
野中:やっぱり青春がテーマなので、二人の青さにすごく心を揺さぶられました。それこそみあさんが仰っていたエモーショナルな部分がすごく響きましたし、二人の恋や、夢にかける熱い思いにも心が動かされました。私も今年26歳になって、少しずつ大人になっている実感がありますが、陸くんの映画にかける情熱を目の当たりにして、思いを原動力にすることは忘れたくないなと強く感じました。モーニング娘。として新たに夢を追いかけるために何ができるのか、考えるきっかけにもなりましたね。
みあ:嬉しいです。この小説は、恋愛も軸として描いていますが、その一方で陸の成長物語としても描いているんです。だから、彼の夢を追い続ける姿に何か感じてもらえたというお話を聞いて、今ものすごく嬉しかったです。
――夏祭りや海など青春を感じるシーンがたくさん描かれていますが、みあさんが思う「これぞ青春!」というポイントはどこでしょうか。
みあ:本作の舞台である夏という季節そのものがエモーショナルだと思うんですが、その中でもやっぱり夏祭りは好きですね。先ほど野中さんが上げてくださった「青春なんていらないわ」という曲も夏祭りの花火がモチーフになっています。また、今回は映画というキーワードも、青春を感じさせる大きなファクターの一つになっています。私自身も映画が好きなので、こんな風に映画好きの気の合う男の子とお喋りができたら楽しかっただろうなって。
みあは自意識過剰だった? 二人で青春時代を振り返る
――お二人の青春時代や思春期の思い出も聞きたいです。
みあ:私は、実はあまり男の子と話さないようにしてました。多分ちょっと気持ちが尖ってたんですよ。男女のグループで楽しそうに話してるキラキラしたクラスメイトも居たけど、それはなんか自分らしくないかなって。今思うとすごい自意識過剰な女の子だったんだと思います(笑)。そういう素直になれない感じは思春期でしたね。今でこそ誰とでも親しくなれたら嬉しいなって思うんですけどね。

野中:ちょっと凛ちゃんの性格に近いですよね? 記憶をなくしちゃうから恋しないように自分を抑えていたっていうのもあると思いますけど、最初は陸くんを寄せ付けないようにわざと冷たく振舞ってた感じがあったので、そこはみあさんと重なるなって。
みあ:そうかもしれないです(笑)。野中さんはきっと学生時代から忙しかったですよね。
野中:私は高校時代もモーニング娘。として活動していたので、メンバーと過ごした記憶ばかりですね。お祭りは大体土日だからコンサートがあってなかなか行けないんですが、たまたまタイミングが合ったときにメンバーと仕事の合間を縫って夏祭りに行ったこともありました。そういう意味では、学校生活での青春は私にとってすごく憧れなんです。だから小説の中で青春を感じるシーンに巡り合うとドキドキしちゃいます。本作だと、家で凛ちゃんと陸くんがLINEしているシーンの没入感がすごくて、「わーこういう感じなんだー!」ってときめきました。
みあ:野中さんの中で青春って言うと、やっぱりアイドルとして活動されている自分の姿が思い浮かびますか?
野中:そうですね。全部モーニング娘。と青春がセットです。
みあ:かっこいい!
野中:曲のタイトルにも「青春」というワードが入ったものが多いですし、加入前からモーニング娘。のファンだったので、そんな自分も含めて、モーニング娘。は私の青春そのものです。だから今すごく幸せなんですが、もう一つの世界線として、こういった小説で青春を疑似体験できるのはすごく楽しいですね。それが青春を題材にした小説を読む醍醐味の一つだなとも思います。
みあ:私も、実は小さいころから憧れの存在といえばモーニング娘。さんでした。圧倒的なカリスマアイドルですし、モーニング娘。が青春っていう人はきっとたくさんいますよね。まさに青春の塊のようなグループだなと思います。
――ちなみに、みあさんが好きなモーニング娘。の曲はありますか?
みあ:去年「THE FIRST TAKE」でパフォーマンスされていた「恋愛レボリューション21」は、昔からよく聴いていました。最近の曲だと「よしよししてほしいの」が好きです。
野中:「よしよししてほしいの」は私もオリジナルメンバーとして参加しているので、そんな風に言っていただけるとめちゃめちゃ嬉しいです!

みあ:モーニング娘。さんってパフォーマンスがすごくかっこよくて、“強くて勝気な女の子”というイメージがありますが、ふとした瞬間に見せる健気さがめちゃくちゃ刺さるんですよね。強い女性像にも憧れますが、強いだけじゃなく、強がってる姿にも胸を打たれました。
野中美希のリーダーとしてのマインド
――先ほどみあさんから「障壁のある両想いに心を揺さぶられる」という話が出ましたが、野中さんが小説を読む上で「こういう作品に弱い」といった好みはありますか?
野中:私は心理描写がたくさんある小説が好きです。人の心理について考えるのが癖で、「あの人はこう思ってるから、こんな風に言ったのかな」とか、メンバーと話しているときや普段の生活の中でも分析しちゃうんですよ。今作でも、二人のセリフや心理描写、関係性の変化を通して、一つ一つを分析していくのがすごく楽しかったです。小説って、すごく細かいところまで解像度高く表現してくれるから好きなんですよね。映画やドラマのような映像作品では見られない部分まで言語化してくれるので、人の心理を分析する材料として最高なんです!
――モーニング娘。のリーダーとしてグループを牽引するという意味でも、分析は役立ちそうです。
野中:まさにそうですね。メンバーに何かを伝えるときも、「この子にはこう言った方が響くだろうな」って考えて、人によって伝え方を変えます。叱られて伸びるタイプとか褒められて伸びるタイプとか、色々あるじゃないですか。だからどういうタイプなのかを考えて、わからなければ「自分ではどういうタイプだと思う?」って聞くこともあります。
――そこまで一人ひとりと向き合っているんですね。
野中:リーダーになる前は、16期メンバーの櫻井梨央ちゃんの教育係をしていたんですが、そのときはMBTI(性格診断)のタイプを聞きました。梨央ちゃんは計画型だったので、「今日はこれをやろう」って一緒にスケジュールを立てたりして。他のメンバーとも、「今のモーニング娘。ってどんなカラーだと思う?」って話し合いながら言葉を引き出して、その言葉を咀嚼して自分に問いかけて、今のモーニング娘。に似合うイメージを考えたりするのも好きですね。
みあ:モーニング娘。として活動される前から、人や物事を分析するのが好きだったんですか?
野中:好きだったと思います。私は幼少期の8年間アメリカに住んでいて、小学生のときに日本に帰ってきたんですが、“雰囲気を読む”みたいな日本のカルチャーにすごく驚いたんです。周りからは「空気読めないね」って言われたこともあったんですけど、その意味すら分からず、「みんなは空中に文字が浮いて見えてるのかな?」って思っていて(笑)。でもそういう違いがあることを知って、よく周りを見ていたら一人ひとりの性格に違いがあることにも気づけて、さらに読書でデータ収集して今に至るという感じですね。

二人が「めっちゃ好きになる」タイプは
――野中さんはロジカルなタイプの方なんですね。
野中:もちろん直感的なときもあるけど、どうしてもロジックで考えちゃう節があるんです。でも凛ちゃんと陸くんはお互いの思いが原動力になっていて、そこにロジックはないじゃないですか。それがすごく美しいと思ったんです。だからロジックばかりじゃダメなんだって自分に活を入れました。
みあ:私も論理的に考えちゃうタイプではあるんですけど、今回は高校生の青春物語っていうことで、もう“考えるな、感じろ”の精神で書きました。
あと今ふと妄想してたんですけど、「この人はきっとこういう人なんだろうな」って自分が分析していた相手に、意外なギャップが出てくるとめっちゃ好きになりませんか? たとえば嫌な人だと思ってた人が、実はすごいピュアだったって分かった瞬間とか。
野中:わかります! 逆にすごく親しみやすい人に見えるのに実はドライだったりとか、そういう人に私すごく弱いです。ギャップってずるいですよね。凛ちゃんも最初はクールな子に見えるけど、徐々に人間味が出てきて、「ただの大人びた女の子じゃないんだな」「すごく深く物事を考えていて、細やかな気配りを色々した結果、こういう子になっているんだな」って気づいたとき、もっと好きになりました。
みあ:そこはまさにギャップを見せるために書いた部分です。どういう背景やバックグラウンドを抱えているのか考えて逆算して描いたので、その心の機微が伝わってすごく嬉しいですね。
――凛が病気を打ち明けてから、陸と急速に距離感が縮まる流れにおいては、そこまでの凛のドライさがギャップとして効いていますよね。
みあ:そうですね。気持ちが通じ合ってからは、とにかく二人が満足いくまで一緒にいさせてあげたかったんです。そのシーンを描くことで、ラストに向かって緩急がついていく構成になっているので、その流れも含めて 楽しんでもらえたら嬉しいです。
――お話の中でも“青春”というワードがたくさん出てきましたが、お二人が青春時代を過ごすファンの皆さんへ、パフォーマンスや作品を届ける上で意識されていることを教えてください。
みあ:たとえば過激な表現を避けた言葉を選ぶといった配慮はあるんですが、青春時代や思春期を美化しすぎないよう意識しています。片思いの切なさやキラキラした青春が好きということもあって、三月のパンタシアの作品の中ではたくさん描いてきていますが、青春ってそれだけじゃないですよね。もっと嫉妬心に狂って、滑稽だったり、みっともない部分もあると思うんですよ。ぐちゃぐちゃになっちゃう気持ちもひっくるめて青春なんだって、これからも濁さずに書き切っていきたいです。
野中:私は、モーニング娘。というグループが昔から届けてきた情熱や本気を表現したいと常に思っています。色々なメンバーが時代を築いてきたグループなので、時期によってカラーは違いますが、根幹にあるのは“本気と書いてマジ”みたいな熱い精神。さっぱりしているように見える子でもモーニング娘。に選ばれているからには、必ず心の中に熱いものを持っています。だから私たちはそれを全力でファンの方にぶつけに行くし、ライブでは魂を削ったパフォーマンスを届ける。それはメンバーみんなが共通して意識していると思います。きっと私だけじゃなく、モーニング娘。が青春なんだ、人生なんだってメンバー全員が思ってるんじゃないかな。

■書誌情報
『君の記憶だけない』
著者:みあ(三月のパンタシア)
定価:726円(税込)
出版社:双葉社
絶賛発売中!
特設サイト:https://fr.futabasha.co.jp/special/kimikioku/
■三月のパンタシア New Single「あまのじゃくヒーロー」12月3日(水)発売!
小説「君の記憶だけない」インスパイアソング「うたかたの声」も収録。
■三月のパンタシア自主企画イベント「三月春のパン(タシア)祭り 2025 -フレンズの春-」開催決定!
開催日時:2026年3月28日(土) 16:30 open / 17:30 start
会場:Spotify O-EAST
出演アーティスト:三月のパンタシア / CHiCO (CHiCO with HoneyWorks) / ヒトリエ
■モーニング娘。’25の76thシングル『てか HAPPYのHAPPY!/私のラミンタッチオーネ(Lamentazione)』は2025年12月3日(水)発売!
通算76枚目となるシングルは羽賀朱音・横山玲奈のラスト参加曲で、つんく♂書き下ろしの両A面シングル。
■ モーニング娘。’25 LIVE INFOMATION
モーニング娘。'25 コンサートツアー秋 ~Movin’ Forward with Hope~
羽賀朱音・横山玲奈 卒業スペシャル
12/5(金)@横浜アリーナ






















