【漫画】月で生まれ育った女子高生が地球に留学に? ゆるゆるな近未来SF『ルナリアンJKと夏』が面白い

ーー本作を制作したきっかけを教えてください。

帝政ミサギ:私は元々イラストを描いていたのですが、実は1年半くらい前まで描いたことはもちろん、漫画を読んだこともほとんどなかったんです。ストーリー作りやキャラクターを動かすことにも、非常に苦手意識がありました。

 しかし創作活動をするなかで、やはりそこを避けるのが難しかったので練習をすることに。その練習として描いた、4作目が本作です。

ーー読者の心を掴んだ設定は、どのように着想を得ましたか?

帝政ミサギ:最初にぼんやり考えていたのは、地球外の国家と人々についてでした。これは地球内でも言えることですが、生まれ育つ環境で文化や価値観は変わります。月という極端な環境であれば、その違いはより顕著だと思うんです。

 6分の1の重力、快適に整備された環境、そして限られた物資。月育ちにとって地球は、過酷な星に感じるかもしれませんし、無尽蔵に物資がある贅沢な星に感じるかもしれません。その価値観の違いを、漫画にできれば面白いかなと思ったんです。

ーーファンタジーな世界を描くうえで、帝政ミサギさん自身がこだわったポイントはありますか?

帝政ミサギ:本作では遠い未来ではなく、それほど遠くはない近い未来に感じてもらえるようこだわりました。例えば、登場する車は現代のモノとさほど外見が変わらず、飛んだりワープしたりもしません。しかし電気で動く自動運転車で、高校生でも免許を取得できます。

 冒頭のシーンも、宇宙旅客機は現代のスペースシャトルと旅客機を合わせたような、クラシックな外見にしました。この宇宙旅客機が大気圏に突入する場面も、実際にありそうな機内放送を描くことで、作中が中途半端な未来であると簡潔に表現できるよう努めています。

 なので作品内の描写から、少しでもそれを感じとっていただけていたら嬉しいです。ちなみに旅客機のシーンは、私のお気に入りポイントでもあります。

ーーゆるい作風が魅力的でしたが、女子高生の日常でファンタジーな世界観を表現した理由は?

帝政ミサギ:海や重力など、私たち地球人にとっては当たり前のモノが、月育ちにとっては当たり前ではない。それを表現するために、より当たり前を身近に感じられるゆるい雰囲気で描くことにこだわりました。

 …という理屈はあるのですが、本当は少し違って…。ストーリー作りに慣れていないこと、私自身がシリアスな物語よりもゆるい物語が好きなことから、フィーリングでこの雰囲気になったというのが実際のところなんです。

ーー帝政ミサギさんが近未来SFを好きになったきっかけはありますか?

帝政ミサギ:実は記憶に残っていない頃からSFが好きだったので、最初のきっかけというのは覚えていないんです。ただ、今現在SFを描く理由は、現実のつまらなさにあると思います。

 物理法則や時間、政治経済など、現実は制約だらけですよね。本作のような発展した未来を見てみたいのですが、現実になるかはわかりませんし、仮になったとしてもその頃には私は土に還っているでしょう。

 創作は、そんな現実を破壊できる唯一の手段です。自分の見たい未来を創りあげられる。それが、私の創作の原動力だと思います。

ーー最後に、今後はどのような作品を描きたいですか?

帝政ミサギ:ストーリー作りやキャラ作りが間に合っていないだけで、形にしたい世界観が結構あるんです。宇宙旅行や宇宙学校などを舞台に、当面はゆるい雰囲気で世界観重視の作品を描いていきたいです。

 このまま創作を続け、将来的にはコミックマーケットに参加したいなと思っています。

 Xでは本作の続編である『ルナリアンJKと夏+秋』も掲載しているので、よろしければ覗いてみてもらえると非常に嬉しいです。

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