『呪術廻戦』打ち切り危機から大ブレイクへの転機は? 連載開始から約6年半の歴史を振り返る

“ネクスト鬼滅”の時代を経てアニメが大ヒット

 『週刊少年ジャンプ』では読者アンケートによる人気が、掲載順として反映されると言われている。これを基準として判断すると、『呪術廻戦』が最初に大きくブレイクしたのは第19話あたりの頃で、第20話では初の掲載順トップ3入りを果たした。

  アンケート結果が反映されるまでには数話分のラグがあるので、直接的な原因は、第13話から描かれた五条と漏瑚のバトルではないかと考えられるが、いずれにしても「呪胎戴天」以降の怒涛の展開によって多くのファンが生まれたことは間違いないように思われる。

  さらにもう一度同作の掲載順が顕著に跳ね上がったのは、「渋谷事変」の終盤付近。同エピソードはまさに呪術師と呪霊たちの総力戦で、物語としてのボルテージも最高潮を迎えていたので、納得の結果ではないだろうか。

  ただ、連載の内容だけでなく、ちょうどこのタイミングでTVアニメの放送が始まったことの影響も大きいだろう。というのもTVアニメ1期が放送スタートしたのは2020年10月のことで、掲載順が巻頭付近で安定するようになった時期とほぼ重なっているからだ。

  同作の人気はこの時期にほぼ盤石のものとなっており、これ以降「死滅回游」や「新宿決戦」に至るまで、掲載順は基本的に高い位置をキープしている。

  なお、『呪術廻戦』は主要キャラが次々死んでいく容赦のない展開が大きな魅力となっているが、こうした作風は同時期に『週刊少年ジャンプ』で連載されていた他の作品ともシンクロを起こしていた。具体的にいうと、吾峠呼世晴の『鬼滅の刃』と藤本タツキの『チェンソーマン』だ。この3本が揃って“次世代のジャンプマンガ”として注目を浴びる時期があった。

  そして『鬼滅の刃』が2020年5月に完結したことから、『呪術廻戦』は“ネクスト鬼滅”としてメディアに取り上げられることも多かった印象だ。しかし今やまったく新しいムーブメントを巻き起こし、『週刊少年ジャンプ』読者のあいだではむしろ“ネクスト呪術”を待望する声すら上がっている。

  オリジナリティあふれる作風によって、一時代を築き上げた『呪術廻戦』。同作の完結を経て、『週刊少年ジャンプ』ではどんな変化が起きていくのだろうか。芥見の次なる挑戦も含めて、興味が尽きない。

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