アキバ総研サービス終了22年の歴史に幕ーー秋葉原のトレンドを紹介してきたメディアの果たした役割
■老舗WEBメディアが終了へ
WEBメディア「アキバ総研」が、2024年9月30日午後3時をもってサービスを終了すると発表した。8月1日に公式サイトで明らかにした。秋葉原ブームの隆盛を見届けてきたWEBメディアの先駆的存在が、22年の歴史に幕を下ろす。
アキバ総研は、インターネットが普及し始めた2002年からサービスを開始。当初は、秋葉原に多かったPCパーツ関連の情報サイトとしてスタートした。その後、秋葉原がいわゆるアキバ系文化や萌え文化の中心地となってきたことを機に、アニメや漫画の情報を紹介するサイトへと変化していった。
2000年代半ばは『電車男』のヒットや、京都アニメーションの『涼宮ハルヒの憂鬱』などのヒットもあって、秋葉原の文化が一般層にも浸透していった。アキバ総研はこうした日本のサブカルチャー文化の変遷を見届けてきたメディアであり、“アニメ&アキバ系カルチャー情報”を発信するメディアとして根強い人気を誇っていた。
サービス終了の理由は明らかにされていないが、近年は競合するWEBメディアが増加したことや、一般メディアもアニメや漫画について積極的に取り上げることになっており、存在感が低下していたものと考えられる。
■過去の記事が見れなくなる
アキバ総研のサイトでは、「これまで多くの皆様にご愛読いただきましたことを心より感謝申し上げます」と述べられ、「サービス終了に伴い、記事やレビュー、投票など各種コンテンツはすべて閲覧できなくなりますのでご注意ください」「改めまして、これまでアキバ総研をご利用いただき、誠にありがとうございました」と感謝の言葉で結ばれている。
SNS上にはアキバ総研の終了を嘆く声が多数上がっており、同サイトが愛されていたことがわかる。一方で、サービス終了で過去の記事が読めなくなることに対する不安の声も上がっている。特に、ライターやメディア関係者からは、同サイトがこれまでUPしてきた記事やインタビューを記録として残すべきではないかという意見も上がっている。
これはWEBメディアに関して、たびたび議論される問題である。紙と違い、WEBはどうしても記録性という点では弱い。アーカイブとして残されているニュースもあるものの、すべてを残すのは極めて難しいのが現状だ。アキバ総研ももちろん、過去のニュースは削除されてしまっているものが少なくない。
WEBメディアは独自の進化を遂げている。今やWEBメディアでしか読めないニュースも多く、専門性に特化したメディアも生まれている。こうしたニュースには歴史的な価値も生まれつつあり、後世の研究者が参照する可能性も高い。資料性の高いWEBメディアをいかに残していくか。今後の重要な課題といえる。