“限界女子”を描くグルメ漫画がトレンドに? 『ドカ食いダイスキ! もちづきさん』のヤバい突き抜け方

ドカ食いじゃないと多幸感がない

  今、SNS上で『ドカ食いダイスキ! もちづきさん』という漫画が話題沸騰中だ。タイトルの通り、「ドカ食い」に焦点を当てたストーリーなのだが、その設定と描写があまりにも突き抜けていることから、“限界すぎる”女子を描いた作品として注目を集めている。


 主人公の“もちづきさん”こと望月美琴は、とある会社の営業事務として働く21歳。職場のみんなから愛されている様子で、一見どこにでもいるおっとり系の女子に見えるものの、実は異常な食生活を送っている。普通のおいしいご飯ではなく、ドカ食いによる多幸感がないと満足できないのだ。

  ランチタイムに取り出すお弁当箱は高校球児のそれに近いサイズ感で、第1話ではそのなかに1775kcalの照り焼き弁当をみっしりと詰めているところが描かれていた。めんつゆに一晩漬けこんだ鶏もも肉に大量のマヨネーズと、塩分も脂質もお構いなしの強欲メニューだ。

  しかし恐ろしいのはそれが序の口に過ぎないこと。その日の夜、ランチの量が足りていなかったと語り始めた彼女は、家まで我慢できないからと職場の給湯室でとんでもない量のカップ焼きそばを作り始め、一食で2760kcalを摂取するのだった。

  最近流行りの女性キャラが主役のグルメ漫画では、食事の際にかわいらしく恍惚とするシーンが見せ場となっていることが多い印象。だがもちづきさんの食事はかわいらしさとは無縁で、普段の顔つきから豹変し、鬼気迫る表情でがむしゃらにカロリーを摂取する姿が描かれていく。

  さらに恐怖を駆り立てるのは、毎度もちづきさんがドカ食いの副作用を味わっていることだろう。満足するまで食事した後、血糖値の急激な変動によって酩酊状態になりかけるところが描かれており、そうした現象が「至る」というパワーワードで表現されている。

  どう見ても健康上のリスクが満載で、絶対に真似してはいけない食生活であり、当然もちづきさん本人も命の危険を感じてはいる。しかしそれでもカロリー“オーバードーズ”の快感からは逃れられない……というところが、恐ろしくもありおかしくもある。そう考えると同作のジャンルはグルメ漫画ではなく、あくまでギャグ漫画というべきで、さらにいえばホラー漫画に近いのかもしれない。

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