『東リべ』和久井健の新作がついにスタート 時代を変えた“ヤンキー漫画”を振り返る
大ヒット作『東京卍リベンジャーズ』を手がけた和久井健による新連載『願いのアストロ』が「週刊少年ジャンプ」でついに連載スタートした。本作は「アウトロー×異能」と銘打たれ、『東リべ』にも通じるヤンキー(極道)漫画に「ジャンプ」らしいSFバトルの要素を掛け合わせた期待の作品だ。本稿では『願いのアストロ』同様に、往年のヤンキー漫画に別ジャンルの要素を掛け合わせて大ヒットした名作を振り返りたい。
タイムリープ&キャラ推しを貫いた『東リベ』はやっぱり凄かった
最初に紹介したいのは『東京卍リベンジャーズ』だ。2023年にはTVアニメ第3期「天竺編」が放送され、実写映画や舞台化をはじめ、本編では描かれなかった世界線が描かれる「東京卍リベンジャーズ 描き下ろし新体験展 最後の世界線」も話題となっている本作は、紛れもなく従来のヤンキー漫画の常識を変えた一作に数えられるだろう。
主人公は、冴えないフリーターだった花垣武道。人生唯一の彼女・橘ヒナタが悪党連合“東京卍會”に殺されたことをきっかけに自身がヤンキーだった時代にタイムリープして成り上がり、周辺人物や自分の運命を変えていく。喧嘩が弱くヘタレな主人公が、巨大組織や理不尽な運命に立ち向かっていくという構図は、和久井健のもう一つの代表作で新宿歌舞伎町が舞台となった『新宿スワン』と同様で、裏社会の闇や男同士の絆、そして不良漫画ならではのケンカや下剋上など、往年のヤンキー漫画要素もふんだんに盛り込まれているが、今作の肝はなんといっても「タイムリープ」だ。
バイクにケンカ、特攻服といった伝統的なヤンキー漫画要素と、主人公が過去に飛ぶというSF展開や、過去を変える度に未来も書き換えられていくというRPG要素が掛け合わさり、謎を考察するファンが続出。さらに、キャラクターが個性的なヤンキー漫画はこれまでにもあったが、ここまで“キャラ推し”が浸透した作品もそうない。マイキーや場地圭介、松野千冬など、ルックスも性格も十人十色のイケメンな不良たち。その関連グッズはキャラごとに陳列され、女性ファンがアクスタや等身大パネルとセルフィーを撮影する、誕生日にはXで「誕生祭」のハッシュタグがトレンド入りするなど、まさに令和ならではのヤンキー漫画の金字塔を作った作品なのだ。