【漫画】一見無愛想な憲兵と、お見合いで出会った太陽のような妻ーー大正~昭和の愛を描くSNS漫画がロマンティック

【漫画】ひまわりの君と、金平糖のあなた。

ーー本作を創作したきっかけを教えてください。

shino:本作は漫画賞に応募するために描いた作品です。制作するにあたり、自分の大好きな軍人・夫婦の物語にすることは決めていました。実は日那子の元ネタは、思い付きで描いた、別で描いているBL作品のキャラの女体化パロディでして……。

 そのキャラが結構好きで、いつかこのキャラ主体の話を描きたいと思っていたこともあり、彼女を本作の中で描いてみました。

ーー本作を描くなかで印象に残っているシーンは?

shino:お見合いのシーンで日那子が「金平糖みたいでとても綺麗な瞳」と言ったところです。大好きな甘いものの話題に胸が躍っていることと、そんな心情を理解されなかった陽太が「甘いものが好きなんですね」と初めてちゃんと正しく自分を見てもらえた喜び。ここから夫婦としての関係が始まったと言えます。ちなみに他の人がこの時の陽太を見ても、いつもの無表情と変わらなかったと思います。

ーー陽太さんを描くなかで意識したことは?

shino:自分もあまりしゃべらないタイプなのですが、こういった人は心の中では口数がとても多いと思います。陽太が話すセリフは少ないですが、対照的に心の中のセリフは多いです。

 また、あのように見えて陽太はいろんなこと気にするので、部下の陰口とか結構ショックを受けています(笑)。でも顔には出ないので、表情ではなく影とか空気で心の陰りを表現しています。喜びも同様です。

ーー本作では「ひまわり」と「金平糖」が2人を表すモチーフとなっていました。

shino:ひまわりと金平糖はお互いが見た、お互いの印象を表しています。日那子は元となったキャラの名前に夏が入っていたことと、朗らかな性格だったのでひまわりをモチーフにすることはすぐ決まりましたね。

 金平糖は見た目や質感はごつごつとしていますが、食べてみたら優しい甘さが広がる。陽太の見た目と中身のギャップが、まさに金平糖っぽいなと思いました。

 また終戦直後の文化になるのですが、ホワイトデーに金平糖を送る意味として「あなたのことが好き」というものがあります。そんな文脈も含めて2人にぴったりなモチーフだと感じました。

ーー投稿には本作の続きを期待する声も寄せられていました。

shino:この2人のお話は描きたいエピソードがたくさんあります。お見合いに至る話、初夜や休日、いずれは子どもができたりーー。本作から数年が経つと戦争がはじまるので、憲兵である陽太が戦争にどう翻弄されるのかといったお話も、機会があれば描きたいと思っています。

ーーshinoさんが漫画を描きはじめたきっかけは?

shino:もともと絵を描くことが好きだったのですが、子育てで忙しくなり一時は絵を描くことから離れていました。子育てが少し落ち着いてから、また絵を描きはじめました。

 最初は既存の作品を題材とする二次創作物を描いており、そのあと本作のような一次創作物を描きはじめました。一次創作は自分の好きを詰め込んでいるため、どれも大好きな作品ばかりです。(こういうのを親ばかと言うのでしょうけど……)自分の好きな作品を誰かに見てもらいたくて、描いた作品をSNSに投稿するようになりました。

ーー大正・昭和を舞台とした漫画を描く理由は?

shino:この時代の人々や兵隊を務める人は、その人の生き様がよく出ていると思います。どんな経済状況の家庭に生まれたのか、生まれたのは地方か都会か。それが所作や言葉遣い、着物や家、果ては結婚相手といった些細なところに出るのが面白いなと思います。

 大正、昭和は社会や技術が発展して近代化していくなかで、季節の行事や地域の密接な繋がりという昔ながらの営みもあって。その中を生きる人、一人ひとりの物語が豊かだなと感じるため、物語がどんどんと浮かんできます。

ーー今後の活動について教えてください。

shino:大正・昭和は日本が大きく変わっていった激動の時代であり、その時を生きていた人の立場によって見え方が違うと思います。良いことばかりでもなかったし、悪いことばかりでもなかった。そんな時代を人の数だけ、いろんな角度で描いていけたらと思います。

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