猫の本、ニーズにあわせた細分化でヒット作続々 猫専門誌編集長が分析するふたつのトレンド
なぜ、猫の本はこれほどまでに強いのか。SNSの普及によって各家庭の飼い猫の様子を細かく知ることができるようになったことに加え、猫特有の間口の広さがその要因ではないかと宮田編集長は話す。
「どんな個性の猫でも可愛いと言えるところが、猫の大きな強みだと思います。どんな模様やどんな顔立ち、どんな性格でも可愛いと素直に思える生き物なので、どんな猫でも主役になり得るわけです。『可愛い』と言える範囲が非常に広いという間口の大きさが、猫の本が出続けている理由のひとつだと思います」
「さらに言えば、あらゆる本のテーマになり得るという間口の広さも理由です。美術、歴史、短歌、住宅、防災、インテリアなど、『猫と〇〇』という形で非常に幅広いジャンルのテーマと組み合わせることができます」
非常に幅広い人々が、まず一発目に可愛いと思えるルックスや性格を備え、組み合わせ次第で数多くの出版物を作ることができる……。猫が備えている特徴は、不況が続く現在の出版業界になくてはならないものなのかもしれない。宮田編集長も、今後も猫本の出版は続くと見ている。
「人が猫に飽きることはないので、これからも猫をテーマにした本は出続けると思います。また刊行が続くだけではなく、猫を取り巻く社会の変化があれば、それに伴って人間の猫への向き合い方も変化していくと思うので、そこでまた新しい切り口の本が出てくる可能性も高いです」
すでに書店の一角に定着した感すらある、近年の猫本ブーム。その流行は、まだまだ収まりそうにない。