ツンデレの文学史――「スクリューボール・コメディ」との相似性、長い歴史を振り返る
■【ツンデレ つん‐でれ】
女性の性格や行動の傾向の一つ。普段はつんつんと無愛想な女性が、特定の男性と二人きりになると、でれっと甘えてくるさま。または、普段は無愛想な女性が、時折甘えた行動をとるさま。アニメなどのキャラクターの性格設定として多く用いられる。(デジタル大辞泉(小学館)より)
時は西暦2005年ごろ、「萌え~」という単語が流行語大賞に入ったその時代の話。『涼宮ハルヒの憂鬱』や『ゼロの使い魔』など、涼宮ハルヒやルイズといった「ツンデレヒロイン」が一世を風靡した。
「ツンデレ」は一種の流行となり、その勢いは2010年ごろまで続いた。『灼眼のシャナ』(2002年に第1作が刊行)のシャナ、『STEINS;GATE』(2009年にゲームが発売)の牧瀬紅莉栖、『ニセコイ』(2011年に連載開始)の桐崎千棘も典型的なツンデレキャラである。『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』(2008年にシリーズ一作目が発表)に至っては登場する女性キャラクターの大半がツンデレである。
普段は強気な女の子がデレることで「萌え」を感じさせるツンデレヒロインこそが当時のラノベの王道ヒロインだったのだ。しかし、(何をもってツンデレとするか明確な定義が無いため、あくまで体感値でしか語れないのだが)流行りは去ったように思う。
と言うよりも「バブみ」「残念美人(美少女)」「クーデレ」「素直クール」「ヤンデレ」など萌え属性が多様化してことで存在感が薄くなったといった方が適切だろうか。
より正確に言うならば、流行りが去ったというのも少々語弊があるように筆者は思う。ツンデレという言葉は21世紀になって発生したものだが、ツンデレ属性を持ったキャラクターが登場する創作物は古くから存在していたからだ。