【漫画】もし同級生にミノタウロスがいたら? 牛が好きすぎる作者が描くSNS漫画がほのぼの&猛々しい

【漫画】高校生のミノタウロスがいる世界

「ミノル」は闘牛を参考にデザイン

――『高校生のミノタウロスがいる世界』を制作したキッカケを教えてください。

牛川:長く勤めていた酪農業から一旦離れることになり、「今なら時間が取れず描きたくても描けなかった漫画に取り組むことができる」と思って取り掛かった作品です。最初は全く異なるミノタウロスの話を描いていました。ただ、あれこれ悩み、3つほどストーリーを描いて没にして今回の話になりました。

――なぜミノタウロスが高校に通う、という設定になったのですか?

牛川:ミノタウロスの魅力を見せながらも「牛の魅力も伝えたい」と思っており、牛舎で仕事をしていた時にふと思いついたアイデアを採用しました。主人公を高校生にしたことはなんとなくです。

――ミノルは怖さもありながら可愛さもあるデザインでした。

牛川:ミノルのデザインは日本の闘牛を参考にしています。今でも闘牛の文化や歴史が残る徳之島や沖縄県、新潟県には筋肉隆々の雄牛がいるのですが、私はこの牛たちの大ファンです。いろいろな闘牛をスケッチしてミノルのビジュアルを仕上げました。ちなみに木村は高校生の時の同級生がモデルです。

――ビジュアルも魅力ですが、ミノルの思考回路がところどころ“牛”になっている部分が面白かったです。

牛川:仕事で関わってきた牛たちの行動や仕草から、「こんなこと考えてるのかなぁ」と想像していたことを、そのままミノルの一部にしました。また、ミノタウロスには荒々しいイメージがあったので、そこを少し変えたかったのもあります。

――また、ミノルが人間に友好的な理由として、愛や友情ではなく“食”だったことが個人的にはとても良かったです。そもそも、なぜその理由を食にしたのですか?

牛川:仕事でお世話していた牛たちも、自然に生えている草より、人間が手間暇かけて収穫した牧草を喜んで食べる傾向があります。そのため、愛や友情ではなく“食”をオチにすることは決めていました。

牛の魅力は語り切れない

――お年寄りを車から守るシーン、不良相手に突進するシーンなど、ミノルが“本気”を出すシーンをいずれも躍動感がありました。

牛川:実物の牛の動きを意識して描いています。あと、実際に牛に蹴られたり、頭でドつかれてたりなどしてきた経験を活かしました。

――作画ですと、終盤にミノルがサンドイッチやパスタを食べている時も勢いがあって好きでした。

牛川:牛が餌を食べる時の躍動感・疾走感をそのまま当てはめました。ちなみに、サンドイッチを描くために、コンビニでサンドイッチを買って360度眺めました。こんなに真剣にサンドイッチを眺めたのは人生で初めてでした。

――牛川さんは『毎日、牛まみれ 牛が好きすぎて酪農してます!』(KADOKAWA)をリリースするなど、牛関連の作品を多く手がけています。牛川さんが考える牛の魅力を教えてください。

牛川:可愛い見た目、大きな体、好奇心旺盛で臆病な性格、なんでも舐めてしまう長い舌、叩かれると痛い尻尾、何より私たちに食を与え生活を豊かにしてくれる必要不可欠な存在です。牛の魅力は、語りだすと止まりません。牛を描いている時は「実物はもっと魅力的なのに!」と自分の画力不足を嘆いています。

――今後も牛関連の漫画や絵を制作していく予定ですか?

牛川:もちろん、これからも牛をたくさん描いていきたいと思っています。これまでは日記のような酪農エッセイを中心に描いてきましたが、『高校生のミノタウロスがいる世界』のようなファンタジー要素の入った牛漫画も描いていければと思っています。

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