アニメ3期も佳境の『東京リベンジャーズ』マイキーの“強さ”の源泉は? 兄から受け継ぎ、仲間と共に育てた力を考察

『東リべ』マイキーの強さはどこからくる?

 「無敵のマイキーの名は伊達じゃない」と、『東リベ』(東京卍リベンジャーズ)ファンの誰もが思っている。東京卍會総長・佐野万次郎のカリスマ性や腕っぷしはもちろんのこと、年齢にそぐわない内面の強さがその“無敵ぶり”を支えているからだ。

 主人公のタケミチと同様にマイキーもなかなかの苦労人で、耐えがたい現実が彼を打ちのめす。組織の巨大化と引き換えに多数の犠牲を払い、心を痛めながらもトップへ君臨するマイキーの精神力は並大抵のものではない。

 総長が若くして、ここまでの屈強な精神力を育てられた理由はどこにあるのだろう。そんな問いを持って原作を読み返していくと、マイキーという人間の奥深さに気づかされた部分がある。あなたが『東リベ』ファンなら今一度彼の魅力を再確認し、共に佐野万次郎という人間について深掘りしていこうじゃないか。

“本当は弱い男の子”という現実

 まず前提として、マイキーは生まれながらの“強靭メンタル”でないことを強調したい。当初マイキーは、総長という肩書きがあると常にドンと構えていて、人としての柔らかい部分など一切ないように見える。しかし、エマがこっそりとタケミチに教えたように、マイキーは未だに使い古したタオルケットがないと眠れないのだ。古くからの相棒を大切にし、安心材料がないと意識が切れないあたりにまだまだ子どもらしさを感じる。

 東京卍會のトップを張り続ける毎日は、緊張状態が延々と続く。睡眠とは人間が最も無防備になる時間は、彼にとっては唯一の安らぎなのだろう。誰も見ていないところでタオルケットに身を委ねて、眠る。エマの言う通り、総長の真の姿は弱くて繊細な男の子である。

 古びたタオルケットを片手に起床するマイキーを見ると、ついつい漫画『Peanuts』に登場するライナスを思い出してしまう。彼もまた毛布がないと落ち着かない子供で、実際に“安心毛布”なんて言葉があるそうだ。

 肌身離さず“相棒”を持っているわけではないのでライナスとは少し異なるけれども、心の平穏を何かに求める姿は同じ。孤高の存在ながらも全てが完璧ではない、それがマイキーなのだ。

総長としての気質は兄・真一郎にあり?

 硬派なドラケン、暴れん坊の場地、子どもらしさ溢れる一虎、常識人の三ツ谷に仲間想いのパーちん。そしてぶっちぎりのマイペースを貫くマイキー。東卍創設メンバーは個性派がズラリと揃う。

 マイキーの堂々たる出で立ちは中でも特別で、総長の風格を漂わせるが、その理由には佐野真一郎の存在が大きく影響している。なぜなら初代黒龍総長の背中を見て育った弟にとって、真一郎は“総長”の立派なロールモデル。喧嘩は強くないものの人望が厚く、多くの仲間から愛される場面を目にしていれば、憧れを抱くのはごく普通のことだ。

 一般的に暴走族のトップなど、悪いイメージが先行する。けれども真一郎は信念を貫き、優しさに溢れた温かい存在だったからこそ、マイキーは積極的に新しい不良の時代を創ると誓ったのだろう。きっと兄がS62世代のような極悪(きわめ)っぷりだったら、今ごろ間違った方向へ進んでいるか、そもそもこの世界に足を踏み入れていない可能性も考えられる。

 “カッコいい男”の姿を憧れとして掲げたからこそ、自然と総長としてのオーラが身についたのかもしれない。常に意識はしていなくとも、心の中に真一郎という軸を置いているのだから。

無敵のマイキーを育てた仲間たち

 華麗な足技と、小柄な体型からは考えられないパワフルさ。「無敵」の呼び名が月、多くの不良たちから恐れられるマイキー。もともと喧嘩のセンスはあったようだが、彼がより一層強くなったのは大切な仲間がいるから。誰一人として欠けてはならないメンバーのために、総長としての責任を持って歩みを止めない。

 外野が言う“無敵”の意味は喧嘩の腕と多くの人に慕われるカリスマ性を指す。確かにマイキーには不良のセンスが備わっているものの、最初から全ての要素が揃っていたわけではない。みんなと多くの時間を過ごし、協力し合い、苦楽を共にしたからこそ“無敵”の境地へ辿り着けたのだと思う。

 東京卍會というホーム、そして隊員同士は大きな絆で結ばれている。仲間たちの大きな愛は人間を成長させるに欠かせないエッセンス。温かなメンバーに囲まれながら作られた「無敵のマイキー」だからこそ、簡単に折れないのだ。

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