『南国少年パプワくん』柴田亜美、“妖怪漫画“取材時の苦労明かす「現地行くまで内容不明」「ローファー履いてガチ登山」
漫画『南国少年パプワくん』の作者、柴田亜美がXを更新。かつて、妖怪取材漫画を執筆していた際の苦労話を赤裸々に語った。
や、小学館の妖怪取材漫画の仕事です。
作中でも描いているように、毎回具体的な取材内容は聞かされないので、子泣き爺の回はローファーの革靴で現地入りしてしまい、山奥の獣道を歩かされて足ボロボロになったよ。 柴田亜美#徳島 https://t.co/BoKMgTaCLQ pic.twitter.com/Xgkfno4Lnh
— 柴田亜美staff (@s_ami_staff) September 11, 2023
「作中でも描いているように、毎回具体的な取材内容は聞かされないので、子泣き爺の回はローファーの革靴で現地入りしてしまい、山奥の獣道を歩かされて足ボロボロになったよ」と、柴田が思い出をつづっている。
柴田はXにこの漫画の一部をUPしている。漫画の中には、水木しげるがデザインした子泣き爺の像が描かれている。おそらく、子泣き爺の伝承の発祥地といわれる徳島県三好市山城町を訪れた際の話らしい。子泣き爺は柳田國男の『妖怪談義』で紹介され、広く知られるようになった妖怪。その後、水木しげるが『ゲゲゲの鬼太郎』のレギュラーキャラクターとして登場させ、一躍有名になった。
この像は、京極夏彦らの尽力によって2001年に建立されたもの。像には京極が書いた説明文が刻まれている。貴重な像と対面した柴田は、旅館に行って温泉と酒を満喫しようと考えていたが、取材はまだまだ終わらなかった。編集の提案で、子泣き爺が棲んでいたとされる標高970mの山(この山の名は不明)にガチ登山することになったのだ。
言うまでもなく、柴田は当時多数の連載を抱える人気漫画家であった。この日も青山にあった仕事場から“拉致”されたそうで、登山用の装備など一切身に着けていない。ご近所にでかけるような軽装備であった。その状態でこの標高の山を登らせるとは。しかも、一般の人たちが利用する舗装されたコースとは違う、ガチな山道を登ったようである。
2000年代前半くらいまで、出版業界は体育会系のノリが強かった時代。その影響なのか、漫画家に過酷なロケをさせる出版社もあったという。柴田もかなり大変な思いをしていたようだが、足がボロボロになりながらもしっかり漫画を描き上げるプロ魂はさすがと言うほかない。
なお、この漫画は『アーミンのぶらり妖怪散歩(バンブーエッセイセレクション)』電子版に収録されている。柴田は、『パプワくん』の単行本のオマケ漫画としても、エッセイ漫画を執筆している。実は知る人ぞ知るエッセイ漫画の名手なのだ。気になった方はぜひ買い求めてみてはいかがだろう。