『もののけ姫』宮崎駿が「大いに参考にした」世界遺産の2つの絶景スポットはどこ?

宮崎駿『もののけ姫』(徳間書店)

 7月21日の「金曜ロードショー」では『もののけ姫』が放送される。宮崎駿の代表作であり、1997年の公開当時は歴代スタジオジブリ作品最大のヒット作となった。また、何度も何度も引退が撤回されている宮崎駿の引退宣言が、メディアで大々的に報じられたことでも有名だ。

 宮崎は『もののけ姫』の制作にあたり、綿密な取材を繰り返している。その過程で訪れた場所のイメージが作品に反映されており、ジブリファンの間では「聖地」として巡礼スポットとなっている。スタジオジブリの公式でも、『もののけ姫』の制作で「大いに参考にした場所」として2か所を挙げている。

屋久島にある白谷雲水峡(写真:photolibrary)

 まず、もっとも『もののけ姫』っぽい雰囲気が味わえるのが、世界遺産に登録された屋久島にある「白谷雲水峡」だ。写真を見ると、確かに『もののけ姫』に登場する森のイメージそのものだ。樹木や岩も苔蒸していて、緑がとても目に優しい。遥か遠くにはシシ神がたたずんでいそうで、足元にはコダマが現れそうな雰囲気が漂っている。

白神山地にある「青池」(写真:photolibrary)

  また、物語の冒頭に登場するアシタカが暮らす村「エミシの村」のモデルになったとされるのが、やはり世界遺産に登録されている「白神山地周辺の風景」といわれている。白神山地は屋久島と同じ1993年に世界遺産に登録され、ブナの原生林が残る貴重な森である。その麓にある「青池」はその名の通り美しい青色をした池で、作中でシシ神の森にある池とよく似た雰囲気で神秘的だ。

  このように、宮崎駿が実際に訪れたり、参考にしたといわれる聖地は日本中にある。ただ、スタジオジブリ作品が昨今のアニメと違うのは、風景を同じアングルで写真が撮れるほど瓜二つに描いているわけではない、という点だ。その点は瓜二つの風景が多く登場する新海誠の作品と異なる点かもしれない。そのため、ジブリの公式もホームページ上でこう明言している。

 「スタジオジブリ作品のうち、ここが舞台です、と公式に表明できる作品は多くありません。様々な地域が部分的に取り入れられている作品がほとんどです。さらに、言うまでもないことですが、映画の中には完全な創作で場面が設定されているシーンも、もちろんあります。だから、実際に訪ねられても全く同じ風景に出会うことはないと思います」

  とはいえ、やはり宮崎駿が訪れた場所を辿ってみるのは、ファンとしても楽しいものだ。いよいよ夏休み突入で本格的な旅行シーズン到来である。『もののけ姫』鑑賞後はぜひ、屋久島へ、白神山地へ、旅行の計画を立ててみてはいかがだろう。そしてくれぐれも、聖地巡礼の際はマナーを守って楽しむようにしたい。

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