【漫画】面白いって言えよーー漫画家の激情が爆発したSNS漫画が痛快 「描き終えてスッキリした」
作中のセリフは本当に言われたこと
――まず『漫画描きが思っていること』を描き始めた理由は?
jun:現在通っている専門学校が漫画賞を設けていて、入学前にそこに入賞すれば奨学金がもらえるので、そのために描いた作品です。高校3年生の夏休み中に3週間かけて描きました。
――結果はどうでしたか?
jun:ありがたいことにグランプリを獲得できました。奨学金20万円がもらえたので、「実質、賞金20万円じゃん!」と喜びました(笑)。
――主人公の千葉はjunさん自身だったのですか? 他にモデルがいたのですか?
jun:千葉は自分がモデルです。専門学校の先生に名前を覚えてもらうために自分の名前にしました。多くの人の目に触れると思わなかったので今は後悔しています(笑)。また、編集の男性は、僕が中学校3年生の時に編集部に持ち込みをしたのですが、その際に対応してくれた人がモデルです。当時の僕は絵のレベルが低かったので、厳しく指摘してもらったことを覚えています。作中のセリフは本当に言われたことです。
――かつて厳しく指摘された作画ですが、原稿用紙から無数の手が出てくるのは怖さを覚えるほど、インパクトのあるカットでした。このシーンを描く際はどのようなことを意識しましたか?
jun:「見開きを使ってインパクトを出したい」と考え、また怖さや気持ち悪さを感じてもらえるように頑張りました。今までそのようなシーンを描いたことがなく、手のデザインに苦労しました。ホラーゲームのキャラクターを参考にしながらなんとか描き上げました。
「描き終えてスッキリした」
――サクサク進む展開のためとても読みやすかったです。
jun:ストーリーの進行に関係ないセリフは削って、なるべく簡潔になるように心掛けたことが良かったのかもしれません。スピード感のある作画は得意なので、自分の好きなように描きました。
――千葉の能力について説明しなかったことも、テンポ感に好影響を与えていた印象です。
jun:そうです。千葉の能力をあまり説明しないのはテンポ感を優先したからです。大前提として「読者さんはその説明をあまり求めていないかな」とも思っていました。
――そもそも、本作はjunさんが抱えていた不満を作品に昇華した、という見方で良いのですか?
jun:はい、僕自身の経験したことを漫画にしていて、「いつか漫画の中で懲らしめてやろう」と思って本作を描きました。
――「編集者さんへの不満が溜まっていたのかな」と感じました。
jun:中学3年生の時に持ち込みをした際に対応した編集者に対する、不満を作品にぶつけてやろうという気持ちはありました(笑)。ですが、編集者さんに漫画を読んでもらう中で成長している自分もいるので、率直な感想やアドバイスをもらえることには本当に感謝しています。また、読者さんに、「『面白い』と言ってほしい」という一心で漫画を描いているので、「つまらない」と言われると悔しい気持ちは少なくありません。ただ、次に活かせる意見もありますので、やはり批判的な意見も大事だとは思います。
――不満を作品として吐き出したことで、心境の変化などは生まれましたか?
jun:ブラックジョーク的な、皮肉めいた意味も込めていたので、描いてる最中は割と達観していました。ただ描き終えた時には、自分の中にあるブラックな部分を形にできたことで、スッキリはしました。
――最後に今後の目標を教えてください!
jun:今後は漫画家として雑誌で連載を目指します。面白い漫画を少しでも多くの人に読んでいただきたいです!Twitterでは作品を載せたり、作業進捗などもツイートしているので機会があれば見てみてください!