【ガンダム】シャア・アズナブル人気の秘密 「マザコンでもかっこいいギャップ萌え」「もはや様式美」「2番手の美学」

シャア・アズナブル人気の秘密

 これまで数多くの作品が制作されてきた『機動戦士ガンダム』シリーズには、個性的なキャラクターが多く登場してきた。なかでも「赤い彗星」の名で呼ばれるシャア・アズナブルは、主人公アムロ・レイより人気があるかもしれないほどのキャラクターだ。一体なぜシャアは高い人気を誇っているのだろうか。その理由を掘り下げてみたい。

ハイスペックだけどかっこ悪いシャアのギャップ

 ジオン公国の軍人として登場したシャアはモビルスーツのエースパイロットであり、クールな性格と高い知性を持った人物。オタク気質のある内向的なアムロとは違い、非常に優秀な印象を視聴者に与えていた。これだけでも十分に魅力的なキャラクターではあるが、その印象とは裏腹にある“かっこ悪さ”も彼の魅力のひとつである。

 その“かっこ悪さ”の代表的なものとしては「ララァ・スンは私の母になってくれるかもしれなかった女性だ」というセリフ。『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』でシャアがアムロに言い放ったものだが、映画の最終局面での突然のマザコン的な発言は観客に衝撃を与えた。さらにララァはシャアの年下ということを鑑みると、このセリフはかなりカオスでありかっこ悪いということがわかる。

 ネット上でも「ロリコンとマザコンを併発しているやべーやつ」という声があったが、一方で「一見すると完璧なのにこのギャップがたまらない……」「かっこ悪いからかっこいい」という声もあった。人間として未熟な部分があるシャアに共感する人は少なくないようである。

美しくて影がある亡国のプリンス

 “かっこ悪さ”のあるシャアだが、元々はジオンの国の礎であるムンゾ自治共和国のプリンスだった。父の仇打ちをするために素性を隠して、ザビ家に乗っ取られたジオン公国軍の士官となっている。ジオンの軍人になるまでには紆余曲折があったが、復讐を誓う亡国のプリンスという陰のあるバックボーンもファンを魅了する要素のひとつだ。

 また、仮面を取るとかなりのイケメンでありイケボの持ち主でもある。ネット上でも「最強で頭の回転も速いし、何よりかっこよくてイケメン」「キャラクター自体が声も含めてもはや様式美の域」など、外見も含めたその素晴らしいスペックに惚れている人はやはり多いようだ。

 シャアのイケボからは数多くの名言も誕生しており、これもシャアの人気に大きく寄与している。「私の母になってくれるかもしれなかった女性だ」はどちらかと言うと迷言の類だが、「坊やだからさ」や「当たらなければどうということはない」はシャアの名言としてよく挙げられてきた。特に「坊やだからさ」は復讐相手であるザビ家の四男でシャアの友人でもあるガルマ・ザビに放った一言だが、シャアの冷徹さや賢さが凝縮されたセリフだ。ネットなどでもネタとして使われやすく、ファンの間では親しまれている。

 多くの人を虜にしているシャア。「セカンドの美学」というNHKの番組では、シャアの特集が放送されたこともあった。「人はなぜ2番手に心惹かれるのか」をコンセプトにした番組で、シャアに魅了されたファンたちの熱意は時代が流れても燃え続けていることが窺える。今なお新作が制作されている『機動戦士ガンダム』シリーズだが、シャア・アズナブルはこれからも変わることなく愛され続けるだろう。

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