【漫画】本好きの“あるある”に共感の声 SNS漫画『紙の本にこだわる女の話』がおもしろい
――本作について、現在の手応えはいかがですか。
タカノンノ:もともとは1~2年くらい前に描いた漫画ですが、当時も共感の声を多くいただきましたね。上げ直した時も反応をもらえて嬉しかったです。「本を集めすぎて電子に乗り換えた」とか「床が軋みだして危機感を覚えたので本を処分した」という人もいました。
私自身も本が好きで、大学生の時は買い漁っていました。本棚に買った漫画がだんだん並ぶのを見るのが気持ちいいんですよね。所有している感がいい。音楽もCDで買ってしまうんですよ。結局はパソコンに落としてウォークマンで聴いてしまいますが……。
――女性の表情のタッチが毎回違う点に笑ってしまいました。
タカノンノ:確かにそうですね。変顔をしているところは大友克洋風になるように狙って描いてますが、それ以外は表情をコロコロ変えた方がメリハリがあるかなと思った程度でした。あと工夫したといえば、擬音ですね。共通認識としてわかりやすい記号なのですが、そこで個性を出したいなと。業務終了のチャイムをわざと気を抜けた感じにしたり。あとは使いすぎないようにも気を付けています。
――主人公が可愛いですよね。
タカノンノ:昔から漫画や絵は描いていましたが、女性キャラはすごく苦手だったんです。
でもみんなTwitterに可愛い女の子が登場する漫画を描いているので、自分もそんな「あるあるネタ」の作品で目立ちたいなと(笑)。主人公は私がロングヘアよりもショートヘアの女性の方が可愛く描けるのと、ぱっちりした目のキャラが全然描けなかったので切れ長の細目にしました。
タイトルは「ショートヘアの主人公が出てくるショートショート」だから『ショートショートショートさん』だなと閃いたんです。最初はコンタクトを入れようとして、なかなか入らないという内容だったのですが、段々と読んでくれる方が増えていったので嬉しかったですね。ストーリーは自分が日常で体験したことを基に膨らませるのが基本です。
――影響を受けた作家さんはいますか。
タカノンノ:読んだ作家さん全員なのですが、昔から好きなのは『炎の転校生』や『逆境ナイン』の島本和彦さんです。ただの熱血漫画ではなく、一歩引いた冷静な視点があるところがギャグとして面白い。それでいて、ちゃんと熱血で気持ちが高ぶるんですよ。そのバランス感が昔から読んでいて尊敬する部分ですね。なかなか難しいですが、それを自分の作品でもやれたらカッコいいなと思っています。
――Twitterに漫画を投稿するまではどんな活動を?
タカノンノ:子どもの頃は自由帳に定規や鉛筆で描いていましたが、ちゃんと漫画を原稿用紙に描き始めたのが大学生のとき。仲間内で見せ合う程度だったところから、漠然と漫画家になりたいなと思って出版社に持ち込んだり、月例賞に応募もしたのですが全然かすらなくて(笑)。それでめげちゃったんですね。
大学時代に作品を持ち込んで、ボロボロに言われた編集さんが「もっと漫画だけでなく、映画も観た方がいいよ」とアドバイスをくれて、洋画邦画問わず観るようになりました。それで自分の好きな演出が映画的なものなのだと理解できたのは大きかったです。それから自分で漫画投稿サイト「pixiv」に投稿し始め、後にTwitterでも作品を上げるようになっていきました。
――今後の活動や創作について、お考えなどあれば聞かせてください。
タカノンノ:今は編集の方とミーティングをしては戻され、出しては戻され、というやりとりを繰り返しています。『ショートショートショートさん』で描いているような、若いということの良さや、それによる過ちなどの「青春を忘れない」話を引き続き描いていきたいです。私はヘマしながら頑張っているキャラが好きなんですよ。