『キングダム』経営者として成功しそうなキャラクターは? 王騎から楊端和まで、その資質を考察

 1月19日、最新刊となる67巻が発売された人気漫画『キングダム』。古代中国・春秋戦国時代を舞台に、大将軍を目指す信(李信)と、中国史上初の天下統一を目指す嬴政(始皇帝)の活躍を描いた物語だ。ビジネスパーソンからの支持が厚く、2018年には公式が「今、一番売れてる、ビジネス書。」のキャッチコピーでキャンペーンを展開。良質な大河ロマンとしてだけでなく、社内政治やリーダーシップのあり方など、仕事術が学べる作品としても注目を集めてきた経緯がある。

 それでは、もし現代に生まれ変わったとして、経営者や起業家として成功しそうな武将は誰だろうか。胆力と知性のある武将が多く登場し、特に大将軍クラスは誰でも成功しそうな気がしてしまうが、なかでも際立ったキャラクターを考察してみたい。

■嬴政

 すでに秦という大国を治める“経営者”である嬴政だが、「中華統一」というそれまでになかった壮大なビジネスプランに挑む若手起業家のようなイメージだろうか。壮絶な生い立ちと言葉の重み、自ら血を流すことを厭わない実行力からくるカリスマ性があり、有名経営者から投資や融資を募る『マネーの虎』のような番組に出演したら、計画の実現性に疑問符はついても、「この若者に出資したい」という経営者は多そうだ。

 深い関係性のあるキャラクターなら、政治力に優れ冷徹な判断もできる異母弟の成蟜、もともと天才的な商人でバイタリティに溢れる呂不韋の方が成功者になりそうな気もする。秦軍総司令・昌平君も超がつく逸材のはずだ。しかし、人々の生活すら変えてしまうビッグビジネスの担い手として期待するなら、嬴政をおいて他にいないだろう。

■王騎

 秦の旧六大将軍なら、やはり絶対的な存在感のある天下の大将軍・王騎だ。窮地にあっても余裕を漂わせ、部下を鼓舞することができる圧倒的実力とカリスマ性。信を見出し、結果として後継者となる一人前の武将に育てていることから、人材育成にも長けていると見ることができる。リーダーシップは申し分なく、同時に大きなビジョンを忘れないロマンチストでもある王騎将軍は、現役引退後も影響力を持ち続ける偉大な経営者になりそうだ。

■李牧

 趙国三大天のひとりで、ラスボス的な存在感がある李牧は、現代でも確実に成功しそうな武将だ。中国大陸全体を俯瞰し、作中随一の頭脳から導き出した緻密な戦略は圧倒的なスケールで、敵国の戦略もその多くを看破する。リスク要因がさまざまな形で分析できる現代であれば、どんな事業もほとんど失敗しないのではないかと思える。柔らかな物腰とブレない意志。誠実な人柄でも信頼を勝ち取り、事業を大きく成長させていきそうだ。

■楊端和

 山の民を率いる“山界の死王”=楊端和も忘れてはいけない。ルックスでも注目を集める気鋭の女性経営者、というイメージが広がるが、最大の魅力は個性的な民族=社員をひとつにまとめあげる「統率力」だろう。多様性を認めながら号令ひとつで有無を言わせず組織を動かすリーダーシップがあり、義を重んじるが敵には容赦ない、というのも経営者向きに思える。バジオウ、タジフのような忠実で優秀な側近が手に入れば、鬼に金棒だ。

 その他、秦国なら李信・王賁・蒙恬の若手三人衆もそれぞれポテンシャルが高そうで、それ以上に、「成果」から考えるなら新六大将軍の王翦・桓騎も大成しそうだ。天才的な戦略で「確実な勝利」を積み重ねる王翦は、他方で人格に難ありという評価が広まっており、またトリッキーに見えてクレバーな桓騎は、露悪的で手段を選ばなすぎるところがコンプライアンス遵守の時流に合わないかもしれないが、常識にとらわれず思いも寄らないビジネスで成功する気もする。このようにどのキャラクターをとっても現実のビジネスに重ねられるからこそ、『キングダム』は“ビジネス書”に喩えられるのだろう。皆さんなら、どのキャラクターにどんなビジネスを任せてみたいだろうか。

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