【漫画再現メシ】『ドカベン』『あたしンち』『クッキングパパ』……世界からも注目を集める個性派弁当4選


 箱にご飯やおかずを入れる携帯食、弁当。その始まりは諸説あるが、戦国武将の織田信長が安土桃山城築城の際、食べ物を入れた容器を名人に渡しことが始まりとする説がある。

 意外と知られていないが弁当文化は日本で発展をし現在では、フランスをはじめとした海外で「BENTO」として注目されている。

 そのきっかけは、漫画やアニメで弁当のシーンが登場していることにも関係しているという。バンドデシネという漫画文化が隆盛なフランスでは、日本の漫画やアニメを幼少の頃から見てきたことによって、そこに登場する弁当に対しても理解があり、食に対する意識の高い国だからこそ発展していったとことがあるようだ。漫画という文化が国境を超えて多くの文化に影響を与える媒体であることを改めて知るきっかけにもなるエピソードだ。

 もちろん日本でも弁当は昭和から令和の現在でも多くの人に愛され、さまざまなレシピ本が登場をし、漫画の中にもユニークなものが数多く存在している。ここではそんな漫画の中で登場した忘れ難き弁当を紹介していきたい。

サンマ一匹弁当『ドカベン』

 野球漫画の金字塔『ドカベン』。このドカベンとは、山田太郎が初登場時に大きく底の深い日の丸弁当を持っていたことが語源である。

 山田と並ぶ人気を持っていたのが、葉っぱを加えた悪球打ちの岩鬼正美。彼が涙を流しながら「まずいまずい」と言って食べたのが、山田の妹・サチコが作ったご飯の上にサンマの丸焼きが載っている豪快な弁当だった。

 岩鬼はサンマを食べ、ご飯をかきこむと最後にサンマの骨を口に入れバキバキに噛み砕き、再び涙を流し「ホンマにまずかった」とつぶやいていた。日の丸弁当の山田とサンマ弁当の岩鬼。この対比が初期に描かれた柔道編の象徴的なシーンだった。

 この「サンマの一匹弁当」に触発されたのが、お笑い芸人の高橋茂雄。自身のYouTubeでこの弁当を再現している。

牡蠣飯『弁当屋さんのおもてなし』

 喜多みどりの小説が原作で、十峯なるせが漫画を担当し人気となっている『弁当屋さんのおもてなし』。そのなかで弁当屋『くま弁』の店員ユウが、落ち込んでいた華田のために作ったのが、「牡蠣飯」だった。

 非常にシンプルな弁当で、ご飯の上に牡蠣が載っているだけのもの。単純だが、余計なものを入れないことで、牡蠣とご飯の甘味をダイレクトに味わうことができる。落ち込んでいた華田もこの弁当を食べて生気を取り戻した様子だった。牡蠣が好きな人にはたまらないこの弁当。試して見る価値がありそうだ。

3段釣り弁当『クッキングパパ』

 『クッキングパパ』で、荒岩一味が作ったかなり変わった弁当が、3段釣り弁当。豪快な料理が多い荒岩だが、この弁当の器はきつねどん兵衛のカップ。そこにご飯を入れ、ふりかけとスライスチーズ、そして海苔を3段にして詰めていく。最後に醤油をかけ、ラップをして完成だ。

 この3段釣り弁当はその名の通り、荒岩が息子のまことと一緒に釣りに出かけた際に2人で食べるために作ったもので、「釣り弁当はこのくらい質素なほうがいいのだ。魚を釣ろうという士気があがるぞ」「潮風に一緒に食べるとうまいんだぜ」と説明していた。

 大胆な発想の3段釣り弁当は真似したくなるもの。YouTubeでも、複数のユーザーが再現に挑戦している。

鮭だけの弁当『あたしンち』

  『あたしンち』の名物となっていたのが、お母さんが作る常人離れした弁当だ。基本的に「おかず1個」であることが多く、「鮭とご飯」「ミートボールとご飯」という『ドカベン』に似たものから「ブロッコリー」「プチトマト」のみという、メインディッシュではないものとご飯という大胆な弁当もあった。

 娘のみかん側から見るとなんとも悲しくなるが、日々家事に追われるお母さんからは「作りたい」「これが出来たら羨ましいし、楽」などの声も出ていた。

 日本人に広く愛される弁当。これからも漫画発のユニークな弁当が、世に出てくるかもしれない。

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