【漫画】W杯、奇跡のフォーメーションはどうやって生まれた? 監督の苦悩を描くSNS漫画がおもしろい


ーー苦悩する監督の微笑ましい日常を覗いているような気分になった作品でした。創作のきっかけは?

大串ゆうじ(以下、大串):6歳の子どもがいるのですが、あるとき朝ごはん中に牛乳をこぼしちゃって。その掃除をしながらこぼれた牛乳のかたちが不思議で面白いなと感じました。

 ちょうどワールドカップで日本チームのフォーメーションが話題となっており、名監督と称される人が些細な日常のなかで画期的な作戦を思い浮かべていたらと思い、本作のストーリーが浮かびました。

ーー作品を読むなかで朝特有のせわしない雰囲気を感じました。

大串:作中で描いた朝の様子は、僕の朝の様子をそのまま当てはめました(笑)。自分が絵を描くためのアイデアを考えていたり、真剣に悩んでいたりしていても、妻にも自分の仕事があるため特に朝はピリピリしていて……。

 ワールドカップ中の監督の家庭も同じような雰囲気だったら面白いなと思い、僕の家庭の様子をそのまま当てはめましたね。

ーー日常を漫画としてそのまま、リアルに描くことは簡単なようで、とてもむずかしいことだと感じます。

大串:リアルな日常を描くなかで、夫婦喧嘩の様子や朝の忙しいときなど、格好つけず、生々しい日常を描くことを意識しています。少し恥ずかしい部分も出した方がよりリアルになると感じますね。

ーー日常の事象を作品として描くなかで感じることは?

大串:「これをこんな風にしたら面白いかも」とか、「これを作品にしたらいいかも」といったことをいつも考えており、妻にめっちゃ怒られている最中にも「これをこうしたら作品になるかも……」と考えています。そのことがバレてしまったら怒られてしまうかもしれませんが……。

 自分の生活を俯瞰し、作品にしたら面白いかどうかといったことを考えているため、ストレスとなってしまうものからいい意味で逃げられているのかなと思います。

ーー日常の中から作品のアイデアを見つけ、膨らませようということを考えるようになtったのはいつから?

大串:中学生くらいからですね。みんなが真剣に部活動をしているときに、僕だけ違うことを考え自分の世界をつくり出していたような気がします。中学生までサッカー部に所属していたのですが、絵を描くことが好きで、授業中に書いた漫画をみんなに見せたりしていました。

 小学生のころはサッカー少年だったのですが、自分の世界に入り創作をすることが好きになり、サッカーよりも絵や漫画を描くことの方が好きになって……。高校1年生のときに本屋さんで横尾忠則さんの画集を見つけてから美術に興味を持つようになり、さまざまな作品を集めたり絵を描いたりしながら高校生活を過ごしました。たまたま担任の先生が武蔵野美術大学の出身で、先生と話すうちに美術大学への進学について考えるようになり、絵の勉強をはじめましたね。

ーーイラストや絵本など、さまざまな作品を発表する大串さんがSNSで漫画作品を発表する背景について教えてください。

大串:色々なアイデアが浮かんでくるなかで「これはイラストや絵本ではなく漫画の方が伝わる」と思ったアイデアもありました。そのアイデアをもとに漫画を描きSNSに投稿したところ反応もよくて。そこからSNSで漫画作品を投稿するようになりました。

 SNSに漫画を投稿すると読者の方の反応がダイレクトに返ってきます。本として出版する絵本よりも知らない人の反応を知ることや、作品に対する反応を素早く見ることができ、SNSに作品を投稿する魅力を感じていますね。

ーー今後の活動について教えてください。

大串:絵本づくりにとてもやりがいを感じているので絵本をメインに頑張りながらも、絵本は完成までに時間がかかるので、頭のなかに浮かんだアイデアをどんどん形にするため絵本では出来ない表現にも色々と挑戦したいです。

■大串ゆうじさんの絵本作品はこちら!

『ヘンテコなきかいのしくみ』
著者:大串ゆうじ
発行:Gakken
定価:1,540円 (税込)
発売日:2022年11月27日
https://hon.gakken.jp/book/1020560500

 

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