【漫画】必要なのは異世界転生ではなく叱ってくれる人? 『ギリギリ異世界転生しないお話』が笑えて考えさせられる
Amazonの試し読みで情報収集
――『異世界転生モノにさほど詳しくない人間が描いたギリギリ異世界転生しないお話』を制作した経緯をお聞かせください。
ショウ:転生して異世界で活躍する物語では、主人公がよくトラックにはねられて死んでしまうイメージがあったので、「これを題材にしたパロディ漫画を作ろう」という安直な発想で描き始めました。ただ、“異世界トラック”というネタは既に広まっており、私はこの漫画を描いてる途中で初めてそのことを知りました。もし事前に知っていたらこの漫画は描いてなかったと思います。
――ショウさん自身、「異世界転生モノをさほど詳しくない」とのことですが、本作を描く際に異世界転生モノのアニメや漫画はチェックしたのですか?
ショウ:Amazonなどの試し読みで冒頭部分を読む程度でした。あとは動画サイトのレビュー動画や解説動画などを見て、いわゆる“なろう系”の流行や定型などを勉強しました。
ギャグのバランス調整は?
――毎ページ、ギャグが入っていて読者を飽きさせませんが、ギャグのバランスはどのように調整しましたか?
ショウ:ギャグをたくさん入れようとすると煩雑になってしまうので、なるべく余計な台詞をそぎ落とすようにしました。また、単純に漫画として読みやすくなるよう絵や構図を工夫しながら、ギャグを入れるようにしています。
――読む人によっては「あの異世界系のアニメを馬鹿にしているのか!」と批判する人もいるかもしれません。
ショウ:なるべく元となった題材を否定するような内容にならないよう配慮しました。しかし、いくら気を遣っても嫌な気分になる人を0にすることはできないので、その辺りは仕方ないと割り切っています。
「漫画を描く経験を積みたい」
――ラストでは矢田くんは猛勉強の末、赤点をギリギリ回避する点数を取り、ご都合主義ではなく、現実的なエンディングでしたね。
ショウ:正直、そこに関しては「満点よりギリギリの点数のほうが笑いに繋がるかな」と思った程度ですので、たいして意識はしていません。どちらかというと気持ち悪い飛び方をする矢田くんを描きたくてあのシーンを入れました(笑)。
――エルフの「異世界なんて存在するかあんぽんたん!死んだらそこで試合終了!」というセリフに、とてもメッセージ性を感じました。
ショウ:「人生で悩んだ時に気軽に相談できる相手、叱咤激励してくれる人が身近にいるだけで、また前を向くことができる」という普遍的なことを後半のシーンで描きたかったので、「特別なメッセージを入よう」と思ったわけではありません。「異世界系の作品がどうこう」という意識もなかったため、読む人によって印象が違う作品なのかもしれません。
――今後はどのように漫画制作を展開していく予定ですか?
ショウ:現在は商業誌での連載を目指して漫画のネームを考えていますが、最近は行き詰まることが多いので、こういった漫画を描いていると良い気分転換になります。これからも短めの漫画をネット上に投稿していきたいと思っていますが、短期間でも良いので仕事として漫画を描く経験を積みたいです。