「食」エッセイの名手・平松洋子の最新作 今までなかった“油揚げ”偏愛本『おあげさん』

 食文化と暮らしをテーマに活動するエッセイストの平松洋子。これまでにも『買えない味』、『サンドウィッチは銀座で』、『父のビスコ』など食にまつわる名著が数多くある平松洋子の最新作が登場した。

 テーマは「油揚げ」。豆腐を薄く切って油で揚げた日本人にとって最もポピュラーな食材のひとつである「油揚げ」は、煮てよし、焼いてよし、そのうえリーズナブルと、いうことなし。ごはんのおかずやお酒のつまみにもなる万能ぶりで、油揚げファンは多くいることだろう。

 日本ならではの食材であり健康食とも言われる油揚げに異常なほどに魅せられ、愛情を向ける著者が、油揚げのことばっかりを書いた29編が収められており、これまでなかった史上初となる「揚げ文学」の誕生といえよう。

 家族との思い出話、友人の打ち明け話、内田百閒の油揚げ、松山あげ、伊東のお稲荷さん、江戸時代の油揚げ、ミナミのきざみうどん、ショーケンから織田作之助まで。あふれる「揚げ愛」と食欲に満ちた偏愛本。

 油揚げにまつわるエッセイだけではなく、旅する油揚げエッセイや油揚げ対談、日々の料理(お手軽レシピ)などの29編(うち26編は書き下ろし)は、油揚げファン必携の書となっている。今宵油揚げを肴に読みたくなる一冊だ。

■著者プロフィール
平松洋子(ひらまつ・ようこ)
1958(昭和 33)年、倉敷市生れ。東京女子大学卒業。エッセイスト。 世界各地に取材し、食文化と暮らしをテーマに執筆している。著書 に『買えない味』(Bunkamura ドゥマゴ文学賞受賞)、『野蛮な読書』 (講談社エッセイ賞受賞)、『父のビスコ』(第 73 回読売文学賞受賞) ほか多数。

■書誌情報
著者:平松洋子 
仕様:四六判変型/240頁 
ブックデザイン:祖父江慎・藤井瑶(コズフィッシュ)
定価:1,980円(10%税込)
発行:PARCO出版
発売日:2022年6月10日より全国書店・ネット書店にて販売開始

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