【漫画】もしも冬眠カプセルがあったら? 究極のアンチエイジングを描いた漫画に反響

ーーSFチックな世界観のなかで人のあたたかみを感じた作品でした。創作のきっかけを教えてください。

たららんど:SNSでショートショート(短編小説)のコンテストがあり、応募するために作成した小説が『冬眠カプセル』の原作となっています。いつまでも若い姿のままでいたいと思う人を中心に冬眠カプセルが普及していくなか、日常の風景が崩れていく違和感や不穏な動きを描きたいと思い本作をつくりました。

ーー小説が原作となっているのですね。

電気こうたろう:そうですね。ただ原作はショートショートとしてサクッと読めるものでした。自分の作風として人間のあたたかみや悲しみを描くことを意識しており、花火を見ながら女性が涙をこぼすシーンなど、冒頭や最後の部分など変更したところもあります。

たららんど:(変更を入れて)よかったですよね。僕の原作をただ漫画にしたのではなく、お互いのいいところを入れた合作になったので。

ーー合作をつくるなかでどんなところに“よかった”と感じましたか?

たららんど:いつも夜に電気さんとお酒を飲みながら通話をするのですが、その際に即興でお互いにお題を言い合い物語をつくることをしていました。そのときにお互いの発想がまるで違うことに気が付いたんです。

 趣向といった根幹の部分は似ているものの、お互いに異なる発想を本作に落とし込むことができたと感じています。

電気こうたろう:仲が悪くなってしまう可能性など、ふたりで創作することは危険も孕んでいると思います。原作に対し手を加えたのですが、それを喜んでくれたことから信頼を置ける、これからも一緒にやっていけると思えましたね。

ーーなぜタイトルが描かれたページで女性の目を描かなかったのですか?

電気こうたろう:人間味を描くにあたり冬眠カプセルは皮肉なものの象徴として扱われます。冬眠カプセルをとことん冷たいものとして描くために、カプセル内の女性の人間味の象徴である目を消しました。

ーー印象に残っているシーンを教えてください。

電気こうたろう:ラーメンを食べながら「くそ暑いな」と文句を言っている最初のシーンですね。まさしく人間味を感じてすごく好きです。

たららんど:「さいあく 夏なんて 大っきらい」と言いながら女の子が勝手に店を出るシーンはめちゃめちゃよかったです。こちらは原作の小説にはない、付け足したシーンですね、

ーー共同制作をはじめたきっかけを教えてください。

たららんど:もともと僕が電気こうたろう先生のファンで、Twitterのスペース(ユーザー同士で通話ができる)機能で創作のことについて話すことが多くありました。会話を重ね仲良くなっていった結果、お互いの良さを出して活動しようということになったのです。これまで僕はショートショートを書いていたため、それを元に漫画作品をつくることとなりました。

ーー自分の作品が漫画になった感想を教えてください。

たららんど:めちゃめちゃ感動しました。本作は世の中の動きが加速し、気づけば主人公が世界の少数派にいるという作品でした。電気さんのネームを見て、表情などの描写から少数派にいる切なさが出ていると感じ感動しましたね。

ーー原作を元に漫画を描くなかで感じたことはありましたか?

電気こうたろう:自分は漫画が好きなんだなと気づきました。一緒に作品を創作する前はスランプぎみになっていて……。ゼロから作品をつくることはむずかしいですが、原作があるのですごろくのように道が決まっており、そこを進みながら細かなところを削ったり付け足していく作業はすごくおもしろかったです。漫画を嫌いになりかけていたところから好きと思えるようになりました。

ーー今後の目標を教えてください。

電気こうたろう:あんまり数字を狙わず、自分たちが「これがやりたい!」と思ったことを突き詰めていきたいです。最初は楽しんで作品をつくり続け、その先に雑誌への掲載などがあればうれしいと思っているので。

たららんど:僕もまったく同じ気持ちです。これはあまり読者にウケないんじゃないかとかは気にせず、合作としてつくり続けていきたいです。自分たちの作品は人を選ぶ作品かと思いますが、好きな人が絶対にいると思っていて。刺さる人には刺さると思い、今後についてあまり心配していないです。

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