【漫画】小説家を目指すことに反対していた祖父の本心とは? 不思議な生き物が教えてくれたこと
ーー『ちいさきいのちの通り道』が大きな反響を呼んでいます。今回の反響を受けての感想をお聞かせください。
ちづはるか:フォロワーさんに作品を見てもらうためにSNSで作品を公開したのですが、どんどん「いいね」や「リツイート」が伸びていったのであわわ……とびっくりしました(笑)。最初にフォロワーさんが投稿に反応してくれたおかげなので感謝しています。
また「作品を読んで泣いた」と言ってくださった方がすごく多くて、ちょっとびっくりしました。
ーー本作を創作したきっかけを教えてください。
ちづはるか:最初は亜樹子の孫にあたる少年と「ねむた」のお話を描きたいと思っていました。ただ、まずはねむたのことを知ってもらう読み切りを描こうと思い、祖母の亜樹子とねむたを描いた本作をつくりました。
ーーねむたというキャラクターを描くなかで意識したことは?
ちづはるか:丸いおなかとおしりです!私は身の回りにいる人たちが心と体が壊れそうなほど頑張る姿を多く目にしてきました。そのことがきっかけでねむたは生まれました。
ねむたはいい子でもなく、どうしようもない子ですけれど、私はそれでもいいと思ってて。みんなも時にはねむたみたいに無理せずゆっくり休んでダラダラしてほしいし、ありのままで生きていってほしいなと思いながらねむたを描いていました。
ーー本作を描くなかで印象に残っているシーンを教えてください。
ちづはるか:ねむたが動物たちと交流しているシーンです。ねむたが動物たちに優しくしてもらったり、泣いている様子は描いていて楽しかったです。また雪が舞うなか誰もいない部屋のなかで亜樹子が一心不乱で書くシーンも印象に残っています。
ーー小説を書けなくなってしまった亜樹子が再び作品を書けるようになったきっかけは何だったのでしょうか。
ちづはるか:おじいちゃんに褒められたいとか小説の賞に選ばれたいなど、亜樹子は無意識のうちに評価されやすい作品を書いていました。おじいちゃんの死を迎えた亜樹子にはおじいちゃんとねむたと過ごした楽しい日々を残したい、自身が愛した時間を書きたいという思いが芽生えたのだと思います。人の目を気にしていた亜樹子がもともと持っていた世界をちゃんと書けたのだと思いますね。
ーー亜樹子は自分が書きたいものを書けるようになったのですね。
ちづはるか:1番最初に作品を読んだ自分が少しでも心が動いたのなら、読んでくれる人も数分の一でもその思いが伝わるのかなと思いながら私は漫画を描いています。自分が自分の作品を面白いと思えないと、読者の方も面白いと感じられないのかなと思います。
ーー漫画を描きはじめたきっかけを教えてください。
ちづはるか:小さいころから漫画を描くことが好きだったのですが、他になりたかった職業もあり漫画家を目指したことはなく誰にも見せずひとりで描いていました。
ただ自分のレベルを知りたくて、学生の時に信頼している友人に描いた漫画を見せたことがありました。すると私が描いた作品は人に見せた方がいいと言ってもらえて、それがすごくうれしくて。それからSNSで自分の描いた漫画を投稿するようになりました。
趣味で同人誌を描き続け、ときに漫画を描くことをやめたこともありました。ただやりたいことを色々とやった結果、続いたものは漫画を描くことだけでした。ちょうどそのころに商業誌の方からお誘いをいただき、これからの人生は漫画を頑張ろうと覚悟が決まりました。
ーー今後の目標を教えてください。
これからも漫画の勉強を続けながら読者の方にエンターテインメントとして楽しんでもらえる作品をつくれるよう精進したいと思っています。そのうえで人の感情や自分が美しいと思える世界を描いていきたいです。本作に登場したねむたをめぐる人々の物語をもっとたくさん描いていきたいので、これからも応援してもらえたらうれしいです。
■本作が小学館「マンガワン」の月例賞を受賞しました!
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