こんまりが語る、ときめきの正体と本棚整理術 「片づけを通じて本当に大切なものに気付き、人生が変わっていく」

世界のこんまりが語る、共作小説への思い

 全世界で1300万部を超えるベストセラーとなった『人生がときめく片づけの魔法』(河出書房新社)の著者、片づけコンサルタントのこんまりこと近藤麻理恵氏。その1000を超える片づけの実話を元に、映画プロデューサー・小説家の川村元気氏が小説化した『おしゃべりな部屋』(中央公論新社)が出版された。現在アメリカを拠点に活動するこんまり氏が急遽来日したのを受けて突撃取材! 本作の意気込みからときめきの正体まで、突っ込んで聞いてみた。(神田桂一)

「ときめき」溢れる小説執筆の経緯

『おしゃべりな部屋』(中央公論新社)

――まず、本を読んだ率直な感想を聞かせてもらえますか。

近藤:率直な感想で言うと、ときめいて、ときめいて、ときめいちゃいました。

――ときめきが止まらないでしょうか。

近藤:私は本の感想を述べるときは、まず触ったときのときめきを大事にしているんです。それでいうと、装丁、デザイン、触り心地、発するエネルギー。こんなにときめく本はないです。大桃洋祐さんのイラストも絵本のようで素晴らしいです。

――世界観が合っている感じですか。

近藤:そうなんです。イラストのおかげで、この本の世界観が確定し、本としてとてもときめきます。もちろん内容としても、私が普段お伝えしている片づけメソッドでありつつも、全く別の物語として、一読者として読んで泣きました。

――なるほど。もうかなりのときめきが。

近藤:かなりのときめきです。

――さっきからときめきしか言ってない(笑)。

近藤:(笑)


――今回、川村元気さんと一緒にされたと思うんですけども、誕生したのはどういう経緯だったんでしょうか。

近藤:元々、知人の紹介で川村さんをご紹介いただいていて、この企画の前にお会いしたことがあったんです。川村さんがアメリカで活動をされるようになって、映像作品のお仕事でロサンゼルスにいらっしゃることが多くなっていって。私も、ロサンゼルスでNetflixの撮影をしているんですが、それがきっかけでご縁をいただいてお話させていただいたことがありました。そのときに、川村さんの方から、今回の企画をご提案いただいたんです。

――そういうきっかけなんですね。そもそもの話なんですけど、ときめくかどうかはどのように判断するとよいのかというのをあらためて教えてもらってもよいですか。

近藤:ときめきって何なのかというと、私は体の感覚だと思っていて。片づけで一つ一つときめくモノを残すというのはどういうことかというと、モノを触ったときにちゃんと体がキュンって反応するかどうかがコツで、これはモノを触ると必ずわかる感覚なんです。だいたい言葉で「ときめくモノを選ぶんです」と伝えると、50%の方がわかってくださるんですけど、50%の方はポカーンとされるんです。言葉だけだとやっぱりわからなくて、実際にモノをたくさん触っていったときに、ときめく感じとそうじゃない感じに結構差があることがわかる。

――体と心は繋がっているって言いますしね。そういうのは、ずっとやっていくとわかるものなんでしょうか。

近藤:どんな方でもわかります。

――近藤さんご本人からときめきの説明をしていただいて感動しています。では、小説の、モノと対話ができる設定について、どのように思われましたか。

近藤:設定も何も対話ができるんです。

――対話ができるんですね。

近藤:はい。片づけの現場を、こなしにこなし過ぎた結果、大体お客さまの家に伺って、クローゼットの中を開けたとき、これは手放して、これは手放さないんだろうなとわかるんです。ただあまりにも、私がそう言い過ぎると不思議ちゃん過ぎるので、“物語り”とオブラートに包んでお送りいたします。


――小説で書かれているように、本当にモノと会話されているんですか。

近藤:これはさすがにデフォルメです。川村元気さんの成せるワザで、ここまではっきりとした言葉のやりとりはないんですけど。なんかモワッとしていたり、ピチッとしているみたいに、感じているんです。

――世の中、植物と話す人とかいますもんね。

近藤:そうです、別に本当に会話をしているわけではないけれど、なんとなく感じる。これを川村元気さんは”シックスセンスの物語”と表現をしてくださったんですが。これは私だけではなくて、実際に私の本を読んで片づけを経験された皆さんが自然とわかるようになる感覚です。

 喋っているとか怒っているとか、そういう感じではなく、ときめく、ときめかないかわかる。これはもうお役目が終わってバイバイな感じがする。皆さん表現は違うんですけれども、そのモノに対して感じることを言葉として明確にしたのが今回だと思います。

――それは日本的な感覚なんですか。

近藤:みたいですね。アメリカの方もわかるというふうにおっしゃるんですが、アメリカの方はやっぱりモノとの主従関係がはっきりしている。私が持ち主で、あなたは持たれているという感覚があるのかなと。それは現地のライターさんに聞いた表現なので、普遍的にアメリカの方全員に共通するかはわからないんですが。

 日本のほうが、モノとの関係がもっと対等な感じがします。これをあえて言葉で表現すると”アニミズム”となるんですが、そんなふうに何か信仰をしているわけではなくても、日本の人が自然に持っている感覚なんじゃないかなと思います。

――自然を征服する/自然と共生するという価値観の違いでしょうか。アメリカに行かれた後により強く感じられたことはありますか。

近藤:「モノにありがとうを言ってから手放しましょう」と言ったときに、日本の方だと「そうですよね、ありがとうございます」で話は進むんですが、アメリカの方だとほぼ100%「Why?」と聞かれるんです。その説明をしなくちゃいけない。「今までお世話になったモノだから、ちゃんとお礼を言うことによって罪悪感を手放せるようになるんです」とちょっと理論立てて説明をした方がわかってくださる。ただそういうアメリカの方でも片づけを繰り返していくと、最後の方には結構ノリノリで言ってくださる方もいます。

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