【漫画】コロナ禍で休校、青春にはどんな変化が? 漫画『休校物語』の視点が面白い

ーー2020年2月に発表された全国一斉臨時休校について、様々な視点から考えさせられた作品でした。創作のきっかけを教えてください。

石川聖(以下、石川):商業誌に掲載していた作品の連載が終了して、時間が出来た頃にコロナ禍が始まり、一斉休校がありました。それまで取り組んでいた連載漫画と違い、ツイッターでは描いたものをすぐに投稿できるので、今起きていることを題材に漫画にして、すぐ発表してみようと思い立ちました。

 当時、ツイッターを媒体とした漫画を描くことに不慣れで手探り状態でしたが、読みやすいかなと思い1ページ漫画の連作にしました。

ーー『休校物語』の作品で特に印象的なエピソードは?

石川:今回ツイッターに投稿した漫画は2年前に描いたものを再調整したものです。エピソードのひとつ「計画延期」は絵をそのままにしつつ、セリフを大幅に変えて現在の状況にも合う内容にしました。言葉を入れ替えると、作品の感触が変化するのも漫画のおもしろさだと感じました。

ーー本作を描くなかで意識したところは?

石川:実際に困ったり苦しんでいる人がいる中で、物語として単純化していいのだろうかというためらいがありました。2年前には計11作品を発表したのですが、「休校」「濃厚接触」という言葉を軽く扱うものがあり、当時も載せるかどうか迷った経緯があります。そのため今回は3つ除外して8作品にまとめ投稿しました。

ーー創作活動を始めたきっかけを教えてください。

石川:すっかり記憶から消えていましたが、小学1年生の頃に書いた文集を久々に見たら「漫画家になりたい」と書いてありました。幼少期からずっと漫画は身近なものであり、人気作品を真似してノートに鉛筆で描いたりしていました。

 高校卒業を控え進路を決める段階で改めて漫画家になろうと考え、原稿用紙とつけペンを手に漫画を描き始めました。

ーー20年以上漫画を描き続けてきたなかで感じる思いを教えてください。

石川:漫画を描いて投稿や持ち込みをしたり、近年ではSNSで発表しても、特に評価をされずに終わることがほとんどでした。しかし気がつけばまた新しい物語を考え、気がつけばコマ割りして、下描きして、ペン入れしています。

 誰に頼まれなくても、見返りがなくても、描いてしまうのが漫画家なのかもしれません。漫画家にとっては生み出せた漫画自体が見返りとも感じます。

ーーこれからの目標を教えてください。

石川:今現在、自分は健康であると認識していますが、いつ病気や怪我等でこの世を去るかわからないと日々感じていて、歳を重ねるごとにその思いは強まります。命あるうちにおもしろい漫画を描けるか、それを届けるべき読者へ届けられるか、時間の勝負だと思います。

 とは言っても、毎日鬼の形相で描いているわけでもなく、天気のいい日にのんびり散歩したりしながら、たのしく生きています。

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